【初級編】 Amazon EMRとはなんぞや?(概要と他社SaaS比較)

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こんにちは、近藤(りょう)です!
社内で複数の近藤さんがいますので識別するために()付きにしています。

ソリューションアーキテクトでも問題としてピックアップされていますね。
EMRについていくつ調べましたので概要と他社SaaS比較についてご紹介していきます~!

EMRとは?

Hadoop, Spark, Hive, Presto などの オープンソースフレームワークを使⽤した ペタバイトスケールのビッグデータ分析が可能なAWSサービス です。

データ処理以外にも相互分析、機械学習を行なう業界をリードするクラウドビッグデータソリューションとなります。

参考

aws.amazon.com

EMRで利用可能なオープンソース(一部)

  • Hadoop

    • 分散ファイルシステムであるHadoop Distributed File System (HDFS) と、分散処理を行うためのMapReduceフレームワーク(分散処理モデル)
    • MapReduceは比較的低レベルなプログラミングモデルであるため、後続の処理フレームワークとしてApache Sparkを利用することが多い
  • Spark

    • メモリ内処理を活用することで高速なデータ処理を並列実行可能
    • Scala、Java、Python、Rなどの複数のプログラミング言語をサポート
  • Hive

    • SQLに似た言語であるHiveQL(HQL)を使用し、データを問い合わせるための高水準なクエリインターフェースを提供
  • Presto

    • Facebook 開発者が作成したオープンソースの分散 SQL クエリエンジンで、大量のデータに対してインタラクティブな分析を実行
  • そのほか

EMRはどんなことができるのか?

ビックデータ処理(ペタバイトスケールの分析)

EMRを使用して、ビッグデータセットに対する複雑な分析や処理を行うことができます。SQLクエリ、機械学習、統計分析、グラフ処理や構造データ、非構造データなど多岐にわたるビッグデータワークロードに対応しています。

ストリーム処理

Amazon Kinesis、Apache KafkaなどからApache Spark StreamingやApache Flinkを使用することで、ストリームデータのリアルタイム処理や処理結果を処理することができます。

機械学習

EMRは機械学習フレームワークであるApache Spark Mllibを使用して、ビッグデータセットを用いた機械学習モデルの構築やトレーニングができます。

参考 資料たち

Hadoop ▶ Amazon EMR の Apache Hadoop | AWS
Spark ▶ Amazon EMR での Apache Spark | AWS
Presto ▶ Amazon EMR での Presto | AWS
他アプリケーション概要 ▶ Configure applications - Amazon EMR

EMRアーキテクチャ

  • EC2やEKSを使って処理をするサーバを起動でき、EMR Serverlessもあり使ったリソース分だけ料金を支払うことも可能です。

  • 処理するデータのIN/OUTのストレージもHadoop HDFSの他にS3やRedshift、DynamoDB、RDSなどが利用できます。

  • 分散アプリケーションのリソースはYARNが制御を行います。

  • アプリケーションとしては、ビッグデータ処理やストリーム処理には、Spark StreamingやPrestoを使い、機械学習の場合は、Spark MLlibやTensorFlowになります。

  • 最終的には開発/利用したいアプリケーションを要件に応じて選定いただければと思います。

アーキテクチャの図があまりなかったのでイメージとしてはこのような感じです。

AWS-EMR-概要アーキテクチャ

Amazon EMR の特徴 ▶ 特徴 - Amazon EMR | AWS

Amazon EMR アーキテクチャの概要 ▶ Amazon EMR アーキテクチャの概要 - Amazon EMR

他社SaaS比較

大量データ分析基盤観点の他社の比較を記載してみました。
個人的見解を含むので参考程度としてご確認ください。

※データセキュリティ、ビッグデータ分析、ストリーム処理、機械学習はどのSaaSサービスも利用可能でした。

  • データモデル

    • AWS EMR:分散データ処理基盤(Hadoop、Spark)
    • Google BigQuery:サーバーレス、分散データストア
    • Azure Databricks:データレイクとデータウェアハウス 一体型
    • Snowflake:メタデータサーバーとストレージ層 分離
  • データ処理

    • AWS EMR:Hadoop MapReduce、Spark など ※フレームワークによる
    • Google BigQuery:SQLベース
    • Azure Databricks:SQLベースおよびSpark
    • Snowflake:SQLベース
  • 分散処理フレームワーク

    • AWS EMR:Hadoop、Spark、その他のフレームワーク
    • Google BigQuery:- (独自)
    • Azure Databricks:Spark
    • Snowflake:- (独自)
  • コスト

    • AWS EMR:
      • サーバの場合:
         インスタンス単位の料金、ストレージ料金
      • サーバレスの場合:
         クエリ料金、ストレージ料金
    • Google BigQuery:クエリ料金、ストレージ料金
    • Azure Databricks:Azureリソース利用料、Databricksソフトウェア利用料
    • Snowflake:コンピューティング料金、ストレージコスト、クエリ料金
  • 移植性

    • AWS EMR:○ ※OSSを採用しているため
    • Google BigQuery:×
    • Azure Databricks:△ ※Sparkの場合
    • Snowflake:×

AWS EMR マニュアル ▶ Amazon EMR とは - Amazon EMR
BigQuery マニュアル ▶ BigQuery の概要  |  Google Cloud
Azure Databricks マニュアル ▶ Azure Databricks のドキュメント | Microsoft Learn
Snowflake マニュアル ▶ ガイド - Snowflakeドキュメント

AWS EMR の料金 ▶ 料金 - Amazon EMR | AWS BigQuery の料金 ▶ 料金  |  BigQuery: クラウド データ ウェアハウス  |  Google Cloud Azure Databricks の料金 ▶ Azure Databricks の価格 | Microsoft Azure Snowflake の料金 ▶ 総コストについて | Snowflake Documentation

その他

Amazon EMR SLA

Amazon EMRのSLAは、99.9%以上となっています。
EC2 SLAは99.99%などなので他のサービスと比べるとSLAは劣りますね。

Amazon EMR SLA
Amazon EMR Service Level Agreement
EC2 SLA
https://d1.awsstatic.com/legal/AmazonComputeServiceLevelAgreement/Amazon_Compute_Service_Level_Agreement_Japanese_2022-05-25.pdf

ブラックベルト:Amazon EMR の基礎

ブラックベルトのAmazon EMR の基礎はこちらをご参照ください。

Amazon EMR の基礎
https://pages.awscloud.com/rs/112-TZM-766/images/AWS-Black-Belt_2023_Amazon-EMR_0929_v1.pdf

まとめ

いかがでしたでしょうか?
少しでもAmazonEMRについて概要をご理解いただけたら嬉しいです。

データセキュリティ、ビッグデータ分析、ストリーム処理、機械学習は、どのSaaSサービスでも利用できるので今後の維持運用を踏まえた保守(アプリケーション改修含む)やコストと性能(検証しないと実値は分かりませんが)を比較したうえで選定していただければ幸いです。

近藤 諒都

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カスタマーサクセス部(配属予定)

夜行性ではありません。朝活派です。

趣味:お酒、旅行、バスケ、掃除、家庭用パン作り(ピザも)など