EC2 メンテナンスイベントの実行時間帯を定義する「イベントウィンドウ」を活用する

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営業部 佐竹です。
本日は、少し前にリリースされた「Amazon EC2 メンテナンスイベントの実行時間を特定の時間枠だけに閉じ込めてしまえる機能」について解説します。

はじめに

2021年7月15日、以下の通り本機能のリリースが行われました。

aws.amazon.com

本「イベントウィンドウ」の機能をかいつまんで説明しますと、RDS のメンテナンスウィンドウのように「予め定められた時間帯にだけインスタンスのメンテナンスを行う」という設定が EC2 でも可能となったという機能です。

機能のリリースがあってすぐに設定を行ってみたのですが、実際にEC2 インスタンスでメンテナンスイベントが発生した後「指定済のイベントウィンドウの枠内に正しく入るかどうかの確認作業」に時間を要したためブログでのご紹介が遅れました。

設定方法と検証結果を合わせてご紹介します。

EC2 インスタンスの再起動メンテナンスについて

そもそも「EC2 インスタンスの再起動メンテナンス」について詳しくない方向けに、以前記載したブログをご紹介します。

blog.serverworks.co.jp

EC2 インスタンスのメンテナンスの運用についてまとめておりますため、合わせてご確認ください。

EC2 のイベントウィンドウを設定する

EC2 のマネジメントコンソールから設定を開始します。

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左端のメニューの Events を開いた後、右上の「Actions」から「Manage event windows」を押下します。

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その後、「Create instance event window」を押下して設定を開始します。

Event window details

名前は想定するターゲットをわかりやすく記載するのが良いでしょう。今回はステージング環境を対象にしたいため Stg-Window としてみました。

Event window schedule

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Cron もしくは Time range で指定が可能です。

注意点として以下の3つを意識してください。

  1. イベントウィンドウの時刻はすべて UTC 表示のみ
  2. 週ごとのイベントウィンドウの最小期間は 4 時間
  3. 各イベント期間内の時間範囲は、少なくとも 2 時間必要

毎週1回の曜日を指定する場合には、イベントウィンドウの時間枠に最低4時間の設定が必要です。毎週2回となるよう2つ曜日を指定する場合はそれぞれ最低2時間の設定が必要になります。

今回は、毎週土曜日と日曜日は16:00から18:00までをメンテナンス枠とします。これは JST で考えると 日曜日と月曜日の1:00 AMから3:00 AMまでとなります。

Time ranges

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Time range での指定は上の通りの UI になります。使いやすい方をご利用ください。

Target details

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イベントウィンドウの対象とする EC2 インスタンスを定義します。タグが便利ですので、タグ指定で設定することにします。

今回はタグの Key が Environment であり、その Value が Staging となるように設定しました。

インスタンス ID を指定することもできますが、ID は再構築時に変更されてしまうため、運用上タグのほうがより良いと存じます。

最後に「Create event window」で設定を完了します。

動作確認

メンテナンスイベントが発生しましたので、イベントウィンドウの枠内に収まっているのか確認を行います。

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開始時間が 2021/11/28 01:00 GMT+9 となっていました。11月28日は日曜日です。これは先ほど記載した「日曜日と月曜日の1:00 AMから3:00 AMまで」の枠内に入っています

このように、本機能が想定通りの動作となっていることが確認できました。

AWS 公式ドキュメント

本ブログで紹介し切れていない注意すべき事項が以下の公式ドキュメントにまとまっておりますため、合わせてご確認ください。

docs.aws.amazon.com

ご紹介:メンテナンスイベントに関するその他の機能

blog.serverworks.co.jp

上記ブログでご紹介しております通り、EC2 のメンテナンスイベント通知メールには現在タグを付与できますので、こちらも合わせてご覧ください。

まとめ

本日は「Amazon EC2 メンテナンスイベントの実行時間を特定の時間枠だけに閉じ込めてしまえる機能」である「イベントウィンドウ」について解説しました。

本機能を利用することで、特定の時間帯にメンテナンスの時間を集中させることが可能です。これはつまり、AWS の都合で再起動される時間帯を予め絞れるということです。

本設定をしておけば、わざわざ手動で再起動を行うような運用も不要になる場合があると考えられます。日々の運用負荷軽減のためにも、本イベントウィンドウの採用を検討してみてはいかがでしょうか?

今回はここまでとなります。

では、またお会いしましょう。

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023 Japan AWS Top Engineers/2020-2023 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。