こんにちは、大石です。

ソニックガーデンの倉貫さんが新しい本を上梓されるのですが、機会がありまして先に電子版を拝読することができました。
ソニックガーデンさんはもともと「納品をなくせばうまくいく」などユニークなビジネスモデルで著名で、かつはたらき方についてもかなり先進的な取り組みをされており、はたらき方についてチャレンジをしている者同士として大いに参考になる会社さんでした(ログミーの当社に関する記事はこちら)。

そんな会社のヒミツが惜しげも無く書かれている本著、会社経営者や「はたらき方改革」を推進すべき立場におられる方は必ず読んでおいて頂きたい一冊です。必読です。

「必読」とはいったものの、実は私も最初からそのような期待があったわけではありません。ものすごく正直に言って最初はタイトルに違和感がありました。

私たち自身、普通の部や課といった組織もありますし、組織があれば(相対的に少ないとは言え)管理業務もでてきますし、一般的な人事評価制度もあります。もちろん、いろいろな苦労はありますが「必要悪」という点で社内でもコンセンサスがあるものばかりですから、「管理をなくす」というキーワードに「そんなん無理やろ」的なある種の違和感がありました。
加えて、ソニックガーデンさんでは「みんなが同じ給与」という情報も断片的に聞いていたので、非常にマルクス的思想に「その社会実験は失敗したんじゃなかったっけ?」という穿った見方をして読み始めてみたというのが本当のところです。

が、その期待は良い意味で裏切られました。

本書全体に言えますが、私がタイトルから感じていた思想的な主張などはほとんどなく、極めて実践的に「どうやるとホワイトカラーの生産性に与えるダメージの総量を少なくできるか」というノウハウがつまったマニュアルともいえる一冊となっています。

「KPT」や「タスクばらし」「ワークレビュー」など、今までマネージャーの力量に頼っていたものをことごとくフレームワーク化して日常のルーティンに落とし込むことで、ホワイトカラーの生産性を最大化させる具体的なメソッドが詰まっており、しかも組織のレベルに応じてやるべきことが書かれているため、はたらきかた改革がどのようなステージにある会社の方が読まれても「今の自社に必要なメソッドはこれだ」というノウハウが得られるのではないかと思います。
また、私たちもことあるごとに「はたらき方改革で最も重要なものはカルチャーだ」といっていますが、本著でも同社の文化をどうやって育んでいるのか、具体的なやり方や取り組みが書かれていて、「よいカルチャーを醸成する」という視点でもとても学ぶべきところがある良書です。
はたらき方改革を目指される会社さんは本著を脇においておきながら、一つ一つ読みつつ試してみて、ことあるごとに読み返して進捗を確認する、という使い方がベストなのではないかと思います。

もちろん、全ての会社さんが同じことをできるわけではありませんし、それは著者も望んでいるわけではないと思います。例えば私たちでいえば「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンを掲げており、そのためには私たち自身が行使できる影響力を大きくしていきたい。私たちのサービスをデリバリーできるお客様の数も増やし、そのためには組織も大きくしていく。かつ「はたらきやすい」という言葉には当然報酬も含まれていると思っており、社員の給与を上げていくことも明確に経営目標に入っています。そういう会社にあっては「スケールすること」がビジョンと表裏一体のため、著者が主張する「規模を追求することをやめる」というオプションは私たちにはありません。
ですが、著者が主張するように、これからの会社に期待されるものは「組織ではたらくひとを幸福にする」ことだ、という点には私も大賛成で、こういう方向性に賛同して頂ける会社・組織であれば、どなたでも本書の内容は必ず参考になるものと断言できます。

(余談ですが、私も倉貫さんのオピニオンはいろいろなところで断片的に知っていたのですが、このような形でまとまっていると改めて「一貫性」に関心させられます。現代のリーダーに必要なことは「一貫性」だと思いますので、その点でもとても参考になりました)

はたらき方改革にチャレンジしたい、という全ての方にオススメします!