[Amazon Rekognition]Celebrity Recognition機能の意外な結果 - Celebrity Kokeshi

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 こんにちは。いつかは「全国こけし祭り」にいってみたいと思っているこけし部 部長の坂本(@t_sakam)です。
 
 今回は、Amazon Rekognitionに新しい機能として加わった「Celebrity Recognition」機能を使ってみたいと思います。日本語にすると、「有名人認識」機能です。名前の通り、画像に写っている人物が有名人かどうか判定でき、有名人だった場合は名前やその確率(%)が返されます。
 

Amazon Rekognitionが数⼗万もの有名⼈やある分野で主要な⼈物を認識できるようになりました。
 例:映画、TV、政治、ビジネス、スポーツで名が通っている⼈

 この機能は、AWSのマネジメントコンソールにデモ機能があるので、簡単に試すことができます。この機能をデモ機能で試したところ、いろいろと思わぬ結果が返ってきたので、ブログに残しておきたいと思います。
※なお、今回使用している絵はすべてパブリックドメインとなっています。
 

マネジメントコンソールでは、Amazon CEOのジェフ・ベゾス氏が例として表示される

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1. Amazon Rekognitionってなあに?

 まずは、「そもそもAmazon Rekognitionとは何なのか?」というところを振り返ってみたいと思います。Amazon Rekognition(以降、Rekognition)は、AWSの「ディープラーニング技術を使った画像認識サービス」です。
 画像に写っているモノやシーンを検知したり、顔の分析や比較、顔認識をおこなうことができます。Amazon Polly、Amazon Lexと一緒に「Amazon AI」の一つとして昨年のre:Inventで発表されました。
 
http://blog.serverworks.co.jp/tech/2016/12/12/amazon-rekognition/  
 

2. 「Celebrity Recognition」機能を「こけし」で試す

 「こけし」は有名人ではありません(そもそも人ではありません)。なので、「特に何も結果は返ってこないだろうなと思ったのですが、一応試してみることにしました。すると、意外なことに名前が返ってきました。
 今回確認したのは、前回のLexのブログで初登場した高橋雄司工人の木地山系こけしです。  
※「こけし」の「系統」についてはWikipediaの「伝統こけしの系統」をご確認ください。
 

意外な結果 Yumeji Takehisa 76% ?

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 「Yumeji Takehisa」、「76%」と返ってきています。日本の画家の「竹久夢二」さんと認識されてしまいました。「竹久夢二」さんは男性でご本人とは似ても似つかないので、どうやら「竹久夢二」さんの絵として認識されたようです。なので、次は実際の「竹久夢二」さんの絵でも確認してみたいと思います。
 

Yumeji Takehisa 75%

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 「Yumeji Takehisa」、「75%」と返ってきました。「有名人認識」機能はどうやら、人物画の判定もできるようです。そして人物画の場合は、作者の名前が返ってくるようです。
 「こけし」はどうやら「竹久夢二」さんの絵に似ていると判定されたようですね。どうでしょう。似ていますかね? 「竹久夢二」さんの絵は美人画として知られているので、先程のの木地山系「こけし」も美人だとAIが判定したということだと思います。
 意外なことに、「こけし」はセレブ認定されてしまいました。
 

3. 有名な絵で試す

 人物画の場合は、作者の名前が返ってくるようでしたので、有名な絵で試してみることにしました。
 最初は、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」です。まずは「ヴィーナス」の顔で試してみます。
 

Sandro Botticelli 100%

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 ちゃんと「Sandro Botticelli」、「100%」という値が返ってきています。有名な絵はAIが学習済みのようですね。次は、「ヴィーナスの誕生」の左側に描かれている2人の顔でも試してみます。
 

No celebrity faces recognized

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 「No celebrity faces recognized」(有名人の顔は認識されない)、という結果となりました。絵の中の全ての「顔」を認識できるわけではないようです。現時点では、絵の中の代表的な「顔」しか認識できないことがわかりました。
 次は、ボッティチェリの他の代表作も確認してみます。「プリマヴェーラ」という絵の中心に描かれている顔で確認してみます。
 

No celebrity faces recognized

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 こちらも、判定できませんでした。現時点では、同じ作者の中でも特に有名な絵でないと認識できないようです。
 

3. モナ・リザ

 次はレオナルド・ダ・ヴィンチの代表作で、誰もが知っている「モナ・リザ」で試してみます。
 

Lisa del Giocondo 100%

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 「Lisa del Giocondo」、「100%」という値が返ってきました。いままでの法則からいうと「Leonardo da Vinci」と作者の名前が返ってくるはずなのですが、描かれている人物の名前が返ってきてしまいました。「リザ・デル・ジョコンド」とはモナ・リザの絵のモデルの人物です。どうやら絵のモデルが特定できる場合は、作者ではなく絵のモデルの名前が返ってくるということのようです。
 

4. 抽象的な絵の場合

 次は抽象的な人物画で試してみたいと思います。有名ではありますが、かなり人物が抽象的に描かれているムンクの「叫び」をピックアップしました。
 

No celebrity faces recognized

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 やはりダメでした。抽象的すぎたのでしょうか。次に他のムンクの代表作である、「思春期」の女の子の顔で確認してみます。
 

Lorenzo di Credi 66%

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 「Lorenzo di Credi」、「66%」という値が返ってきました。別の画家の絵と間違えてしまったようです。抽象的な絵だと正しい判断ができないのか、もしくはまだAIがムンクの絵を学習していない、ということかもしれません。
 

5. 他の画家の絵

 他にも有名な画家の絵(クリムトやゴーギャン、ルノアール)で確認してみましたが、認識できませんでした。
 ですが、モディリアーニの絵は認識できました。竹下夢二と同様、描かれている人物のタッチに特徴がある画家なので、AIが学習しやすかったのでしょうか?
 判定できなかった画家の絵も単純にまだAIが学習しきれていないだけかもしれません。そういうことであれば、これからもっといろいろな人物画が判定できるようになるかもしれませんね。
 

No celebrity faces recognized

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Amedeo Modigliani 99%

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6. まとめ

 今回はRekognitionの新機能「Celebrity Recognition」をデモ機能を使って試してみました。
 特に機能として書かれてはいませんでしたが、思わぬところから人物画の判定ができることがわかりました。
 Rekognitionは他にも新機能が徐々にリリースされていますので、今後いろいろと判定できることが増えていくのかもしれませんね。
 
 いや〜、Amazon Rekognitionって本当にいいものですね!