AWS Directory Serviceが2014年10月22日に突然リリースされましたね!
Amazon EC2にわざわざDirectoryサービスをインストールしなくても、AWSを利用すればいきなりDirectoryサービスが使えるようになりました。
今回は、そんなホットな話題「AWS Directory Service」の利用料のお話です。
はじめに
ご挨拶が遅れました。どうも、「サーバーワークスのおでんの具」がんもこと佐竹です。
この記事を書こうとしたきっかけはもちろん、AWS Directory Serviceが出来た!ということだったのですが、何故利用料にフォーカスしているのでしょうか?
それは・・・WorkSpacesに関連しているからです。
どう関連しているのでしょうか?それは・・・この記事の中で明らかになります!
Amazon WorkSpacesとの関連
「百聞は一見にしかず」ということでこの画像をご覧ください。
こちらの画像は、WorkSpacesのDirectoriesのページです。
私が作成したディレクトリーが既に2つあります。
次は、新しくできたDirectory Serviceを覗いてみましょう。
あっと、覗くのにはコツがいります。
まず、Directory Serviceを一覧から選んで選択すると、Get Started Nowと表示されると思います。
最初に、この「Get Started Now」と書かれた青いボタンを押します。
次に、右下の「Cancel」を押して、少し待ってください。
そうすると(何故か)、Directoriesの画面に遷移します。
※1つもディレクトリーが無いアカウントでは遷移しないので表示されません
さて、中身を見てみましょう。
おや?
全く同じものがありますね!
そう、WorkspacesのDirectoryは、裏でこのDirectory Serviceが動いているのです。
「AWS Directory Serviceをはじめてみた時、WorkSpacesかと思った」
そんな声も聞かれたとか、聞かれなかったとか。
料金に着目した理由
またも「百聞は一見にしかず」ということでこの画像をご覧ください。
これはAWS Directory ServiceのSnapshotsのページです。
そう!ディレクトリーの!スナップショットが!自動で取得されているのです!
んじゃあこのSnapshotの利用料金ってどうなってるの!?
そう思いませんかっ!?
「WorkSpacesをお客様に提案している中、利用料が変わるのであればその旨も合わせてお知らせせねば!」
こう思ったので、急いでPricingのページを翻訳してみました。
その結果・・・驚愕の事実がッ!
SnapshotとRestoreについて
ちなみに、AWS Directory ServiceのSnapshotは大体1日置きで自動で取得され、5世代が保管されるようです。
Restoreをすると、RDSのように新しいInstanceができるのではなく、Windowsの復元ポイントのように対象のディレクトリーがそのSnapshotが取得されたタイミングのデータに巻き戻ります。
Restoreは結構時間がかかる(数分では終わりません)ので、余裕を見て行いましょう。
AWS Directory Service Pricing
本題です。以下に「AWS Directory Service Pricing」の翻訳を記載します。(2014年10月22日現在の翻訳です)
AWS Directory Service 利用料
AWS Directory Serviceでは、お客様が作成されたディレクトリー(これはタイプとサイズで価格が決定されます)にのみ課金がされます。
事前にお支払を頂くことは一切無く、またお客様はいつでも作成されたディレクトリーを削除することが可能です。
AWS Directory Serviceはご利用いただくリージョンごとに利用料が異なります。
参考:東京リージョン
ディレクトリータイプ | サイズ | 1時間当たりの課金額 |
---|---|---|
AD Connector | Small | $ 0.08 ($58.40/month*) |
AD Connector | Large | $ 0.24 ($175.20/month*) |
Simple AD | Small | $ 0.08 ($58.40/month*) |
Simple AD | Large | $ 0.24 ($175.20/month*) |
- 月額利用料は、月当たり730時間をもとに計算しています
※訳者注:24時間×365日÷12か月が730時間となります
請求先住所が日本のお客様に関しましては、東京リージョンをご利用の場合は日本の消費税の対象となります。
利用料金には消費税を含んでいない価格が表示されています。
Directory Sizes(ディレクトリーサイズ)
ADコネクターにおいては、「Small」サイズをご利用の場合には、1つのディレクトリーで1万のユーザ、コンピュータ、グループ、その他のディレクトリーオブジェクトへの接続が上限となります。「Large」サイズをご利用の場合には、1つのディレクトリーで10万のユーザ、コンピュータ、グループ、その他のディレクトリーオブジェクトへの接続が上限となります。
シンプルADにおいては、「Small」サイズをご利用の場合には、各ディレクトリーに1,000のユーザ、コンピュータ、グループ、その他のディレクトリーオブジェクトを含むことが可能です。「Large」サイズをご利用の場合には、各ディレクトリーに1万のユーザ、コンピュータ、グループ、その他のディレクトリーオブジェクトを含むことが可能です。
フリートライアル(無料のお試し)
お客様は、AWS Directory Serviceを無料でお試し頂けます。お客様がAWS Directory Serviceを一度も作成されたことが無い場合は、Smallサイズの(シンプルADもしくはADコネクターのどちらでも)ディレクトリーにて、750時間を無料でお試し頂くことが可能です。750時間は30日の間、同じディレクトリーをご利用頂くのに十分な時間です。お客様がSmallサイズのディレクトリーを作成されてから30日が経過した時点(※1)で、利用されていない期間が存在していたとしても、どのような無料時間も期限切れとなり持ち越すことはできません。一度無料のお試し期間が期限切れとなるか、お客様の利用が750時間を超えた時点で、定められたオンデマンドの利用料金に従ってディレクトリーに課金が開始されます。
※1 訳者注:30日が経過した時点とありますが、30日は720時間で750時間以下ですので、ここは表現として反復記載を回避したか、もしくは記載ミスかと思われます
Amazon WorkSpaces and Amazon Zocalo(ワークスペーシーズとゾカロ)
お客様がAWS Directory Serviceと併せてAmazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocaloをご利用の場合は、シンプルADであろうとADコネクターであろうと、Amazon WorkSpaces及びAmazon Zocaloと共に登録されているディレクトリーには課金はされません(※2)。ただし、Amazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocaloに、十分な数のアクティブユーザが存在している場合に限ります。AWS Directory Serviceの月額課金を回避するためには、各月において、Amazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocaloに登録されているアクティブユーザは、Smallディレクトリーにおいては少なくとも1名のアクティブユーザが存在していなくてはならず、Largeディレクトリーにおいては少なくとも100名のアクティブユーザが存在している必要があります。
※2 訳者注:ここで言われている事は、「単にAWS Directory Serviceと併せてAmazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocalo」を使っているだけ(関連性が無い状態)ではだめで、「Amazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocaloを利用している中で作成されたAWS Directory Service」となっているときには課金されないと念を押して記載されています
記事を翻訳してみて
以上が翻訳した全文となります。
まずお気付きの通り、Snapshotの利用金額について記載がありませんでしたッ!
驚愕の事実。
この件については、現在サポートに問い合わせをしております・・・。
その他、一番気になる点は「Amazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocalo」において作成されたAWS Directory Serviceを利用している場合に、これの月額利用料が無料となるには「Smallディレクトリーにおいては少なくとも1名のアクティブユーザが存在していなくてはならず、Largeディレクトリーにおいては少なくとも100名のアクティブユーザが存在している必要があります」という点です。
これはつまり、WorkSpacesでクイックセットアップなどを利用して、ささっとワークスペースを利用した後、ワークスペース(ユーザ)を全て消したとしても、自動的に作成される「corp.amazonworkspaces.com」等の「Simple AD」を消さずに放置しておくと、無料のお試し期間が終わってからはずっと課金され続けてしまう、ということです。
これは危険です。気を付けたいと思います。
皆様も気を付けてください。
表にまとめてみました
文章だとぱっとわかり難いと思いましたので、料金についての内容を表にまとめてみました。
- AWS Directory Service利用料
ディレクトリータイプ | サイズ | 1時間当たりの課金額 | ディレクトリーサイズ | 無料枠 | 併用時の無料条件 |
---|---|---|---|---|---|
AD Connector | Small | $ 0.08 ($58.40/month*) | 10,000オブジェクト | 750時間 | 1アクティブユーザ |
AD Connector | Large | $ 0.24 ($175.20/month*) | 100,000オブジェクト | なし | 100アクティブユーザ |
Simple AD | Small | $ 0.08 ($58.40/month*) | 1,000オブジェクト | 750時間 | 1アクティブユーザ |
Simple AD | Large | $ 0.24 ($175.20/month*) | 10,000オブジェクト | なし | 100アクティブユーザ |
※「併用時」とはAWS Directory Serviceと併せてAmazon WorkSpacesもしくはAmazon Zocaloを利用している状態を指しています
まとめ
今回、AWS Directory Serviceという新しいサービスがリリースされましたが、これが既存サービス(Amazon WorkSpaces)の利用料に関わってくるという衝撃がありました。
これにより、「既存のサービスには関係ないだろう」という思いこみは、AWSを使う上では危険ということを学びました。
これからも、新しいサービスが出たらいち早くキャッチアップし、皆様に安心してAWSを使って頂けるようにしたいと再度感じた1日でした。
以上、ここまでお読み頂きありがとうございました。
佐竹 陽一 (Yoichi Satake) エンジニアブログの記事一覧はコチラ
マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。