AWSに簡単に構築できるクラウドストレージ対応ファイルサーバ『MagFS』を試用してみた

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MagFSは米Maginatics社が開発するクラウドストレージ対応広域共有ファイルサーバです。 ファイルサーバといってもハードはなく、仮想ソフトウェアアプライアンスで提供されています。 VMwareもしくはAmazon EC2に対応し、今回、Amazon EC2版を試用する機会を得ましたので、サーバ構築・導入から実際にファイルをMagFSに置いてみるまでをレポートいたします。

MagFSの特徴を以下に挙げます。

  • クラウドストレージで広域同期ファイル共有を実現
  • メタデータサーバと独自キャッシュ技術によりアクセスが高速
  • 非同期に、各拠点やクライアント間でデータを共有できる
  • AES256ビット暗号化処理でデータ保護はセキュア
  • Active Directoryとも連携でき、アクセス制御の一元管理が可能
  • ストレージはAmazon S3に対応
  • クライアントは、Windows、Mac OSX、Linux、iPad等モバイルに対応し、ネットワークドライブの感覚で利用可能

試用の結果から先に述べますと、構築はとても簡単です。 利用も例えば社内にファイルサーバ(NAS)を置いていてPCでネットワークドライブを作って使っていたというシチュエーションでしたら、そのまま置き換えできてしまいます。 それくらい簡単です。

構成

下図のような構成で構築してみます。 インターネットを通じてファイルをやりとりしますが、HTTPSでセキュアになっているとはいえ、より安全に…となりましたら、AWSの機能であるVPN接続を用いることも可能です。 また、MagFSはActive Directoryと連携ができますが、これは次回のお楽しみにして今回は連携はせずにシンプルな構成にしてみます。

構築

試用を申し込むとアプライアンスであるAMIが共有されます。 このAMIからインスタンスをラウンチします。

 

インスタンスタイプは「m1.xlarge以上」とあり、ディスク(EBS)容量は「50GB以上」とありましたので、多めに盛っておきます。

 

今回は、VPCを作り、サブネットを切って、MagFSサーバにはEIPを割当てて、インターネットからアクセスできるようにします。 初期セットアップではMagFSサーバにはグローバルIPでアクセスできますが、クライアントから実際の利用にはFQDNが必要です。 空いているドメインを利用して、名前でアクセスできるようにしておきます。

ウェブブラウザで、MagFSサーバに割当てたグローバルIPを指定してアクセスします。 デフォルトの管理者アカウントの認証が求められるので、認証し管理画面にログインします。

EC2でMagFSサーバを立てる場合、MagFSサーバにsshログインしてネットワーク周りのセットアップが必要になります。 これを行わないとこの先の初期セットアップができません。 「sshログインして…は難しいのでは?」と考えるかもしれませんが、コマンドを1つ実行するだけです。

$ ssh -i ./(インスタンスをラウンチするときに選択したキーペアの秘密鍵ファイル) admin@(割当てたグローバルIP)



Welcome to Maginatics Management Console (2.5.18)
sudo: unable to resolve host ip-10-20-30-30
admin@mag-fs> fqdn magfstesting.XXXXXX.XXX     ←上記で決めたFQDNを指定する

 * Processing request
 * Changing hostname
 * Restarting DHCP
 * Restarting configuration controller
 * Restarting configuration agent
   FQDN changed successfully

これだけです。 構成図にありましたS3のバケットは、これから共有フォルダを作成する際に自動的に準備されます。

上記を実施すると、ウェブの管理画面が遷移します。

初期セットアップは下図のように、ウィザード形式で入力していくだけです。 この初期セットアップは一度行なったあとでも再設定ができます。

MagFSサーバのタイプを選択します。 今回はオールインワン(1台でMagFSの機能をすべて担当する)を選択します。

HTTPプロキシを使うかの選択です。 今回は1台構成ですので、HTTPプロキシは使いません。

S3等のAWSリソースを使うAWSアカウントのアクセスキー、シークレットアクセスキーを登録します。

バックアップの設定を行います。

SSL証明書の設定を行います。 MagFSサーバとクライアント、もしくはMagFSサーバ同士で連携する際の認証になります。

リバースプロキシを使うかの選択です。

MagFSサーバに何か起きた時に知らせるかの選択です。

Active Directoryと連携するかの設定です。

ここまで対話形式で答えていくと、セットアップが始まります。

これで初期セットアップは終わりです。 クライアントから利用する共有フォルダを作る画面に遷移します。

ひとまず使いたいと思ってからここまで30分もかかっていません。

共有フォルダの管理情報を保存するためにMySQLが必要です。 MySQLはMagFSサーバに内包されていて、これを利用することもできますが、AWSですのでより設定や運用がラクなRDSを利用してみます。 そのRDSをMagFSで利用することは意識せずに普通にインスタンスをラウンチします。 (インスタンスタイプやMulti-AZを有効にするかはお好みで)

共有フォルダの作成

下図の「Create One」をクリックして設定画面に進みます。

アクセスするためのホスト名と共有フォルダ名を入力します。 このホスト名はMagFSサーバが複数台で連携することができるため、複数台を1台と見るためのホスト名です。 クライアントはこのホスト名を指定します。

DBは上記で作成したRDSを利用します。

RDSの再起動が必要になるので、再起動します。

ところが共有フォルダの作成に失敗します。

各設定を見直します。 MagFSがRDSのパラメータグループをいじっていたようです。 再起動しないと変更が有効にならないので再起動します。

RDSの再起動後、無事共有フォルダが作られました。

クライアントの導入

クライアントはインストールパッケージになっていて、簡単に導入できます。

今回はWindowsに導入してみます。 Mac版でも同様です。

上記で立てたMagFSサーバを指定します。

導入したクライアントソフトを起動し共有フォルダを探します。

ネットワークドライブのドライブレターを選択します。

ネットワークドライブとしてマウントされました。

あとはローカルドライブと同じ感覚でファイルを置いたりできます。

まとめ

スクリーンショットを多めに載せてひとまず使えるまでをレポートしてみました。 ご覧のようにNASを購入し設置する場合と変わりなく導入できました。 AWSを利用していますので、機械的な故障を恐れることなくファイルサーバを利用でき、また、利用者が増えてディスク容量が足りなくなった、あるいはサーバが負荷に耐えられなくなってきたという事態には即応できるクラウドの利点を享受できます。 次回はより実運用を想定した内容やパフォーマンスなどを見ていきたいと思います。

MagFSについて詳しくは下記のサイトをご覧ください。 MagFS製品情報(株式会社マクニカ クラビスカンパニー)