
re:Inventでは数多くのセッション、展示があって、一体どこに行けばいいの?とお悩みの方に、もし行く機会があれば、絶対におすすめできるのがこの「Sports Forum」です。
学習だけでなく実際に触れて遊ぶこともできるという、非常に素敵なエリアでしたので、今回はその様子を紹介します。
Sports Forum とは

今回のSports Forum は、ハラーズホテルとリンクホテルのちょうど中間に位置する「シーザーズフォーラム」にありました。スポーツとテクノロジーを組み合わせて「見て・遊んで・体験する」このエリアは、スポーツ放送におけるファン体験が、クラウド・AI・データ分析などの最新技術でどのように進化してきたかを、実際に体験して学ぶことができる体験型イベントゾーンとなっています。
スポーツとAWSの関係性
なぜre:Inventでこのようなスポーツに特化した特設会場があるのか。まずはAWSとスポーツ分野における関係を簡単に確認しましょう。
NBAとAWS
2025年10月1日に、NBAとAWSは次世代のバスケットボールイノベーションを推進する複数年にわたるパートナーシップを発表しました。
パートナーシップの一環として構築された「NBA Inside the Game powered by AWS」プラットフォームでは、AI技術を活用して、従来測定できなかったディフェンス貢献度(Defensive Box Score)、シュート難易度(Shot Difficulty)、選手の引力(Gravity)といった革新的な統計指標をリアルタイムで提供し、さらに、数千もの試合データを分析する「Play Finder」機能により、類似プレイの瞬時の検索や戦略的なインサイトの提供が可能となりました。これらの技術は、あらゆるプラットフォームでのファン体験を向上させ、クラウドとAIがスポーツの未来を変革していくことを示す、まさに最先端の事例と言えます。
F1とAWS
また、ラスベガスと言えば、F1ラスベガスGPが有名でしょうか。
そのF1では、レース中継のストーリーテリングを強化する「Track Pulse」というツールをAWS上に構築しています。このツールは、サーバーレスアーキテクチャを採用し、AWS Fargateによるリアルタイムデータ処理、AWS AppSyncとAWS Lambdaによるリアルタイムデータ同期、Amazon CloudFrontによる低遅延コンテンツ配信など、複数のAWSサービスを組み合わせ、レース中に発生する膨大なテレメトリーデータ(1秒あたり110万データポイント)をリアルタイムで処理し、機械学習と生成AIを活用して、重要なストーリーを自動的に識別・優先順位付けすることで、視聴者により魅力的な体験を提供できるよう支援しています。
この他にも、様々なスポーツ分野でクラウドとAIが密接に関係しながら、今日のスポーツエンタメを支えているのです。
展示紹介
というわけで、今回筆者が見て回った Sports Forum での体験型展示を3つ紹介したいと思います。
MLSE:トロント・ラプターズ「デジタル・シューティング・ラボ」
- AI/ML(人工知能/機械学習)
- DATA(データ)

会場に設置された「Noah Shooting System」などの高度なカメラとAWSのクラウドを連携させ、シュートの角度やアーチ、着弾位置などを数値化し、即座にフィードバックするシステムが体験できます。トロント・ラプターズ(NBAチーム)がAWSの技術を使って、選手のシュート技術向上に取り組んでいることが体験できる内容でした。

【解説文章翻訳】
トロント・ラプターズは、現代的な選手育成のためにAWSのAI技術を活用し、シュートに関する分析結果(インサイト)を即座に取得しています。
高度なカメラネットワークとAI技術を駆使し、AWSはラプターズの選手たちがリアルタイムでシュート技術を完成させるのを支援しています。AWSの技術は、すべてのシュートから詳細な生体力学(バイオメカニクス)データを捉え、フォーム、ボールの軌道、そして体の動き(メカニクス)を瞬時に分析します。
コーチや選手はこの分析結果を確認することで、わずかな調整がシュート成功率(Shooting Percentage)をどのように向上させるかを正確に理解できます。それはまるで、AWSの技術に基づく「データ専門の専属シューティングコーチ」がもう一人いるようなものであり、選手がシュートを打つたびに、プレーを向上させるための貴重なフィードバックを提供します。
勘や経験だけに頼るのではなく、データに基づいてシュートフォームを修正し、成功率を上げる「科学的なトレーニング」を実現しているそうです。
いまやトップアスリートにとって、科学技術はさらなる高みを共に目指すパートナーと呼べる時代なのだと感じさせられます。
NBA × AWS 「AI駆動の高度なスタッツ」
- AI / Machine Learning(人工知能 / 機械学習)
- Computer Vision(コンピュータビジョン / 画像解析)
- Real-time Insights(リアルタイム分析)

AWSのAIとコンピュータビジョン技術を活用し、選手の複雑な動きを「重力(Gravity)」や「シュート難易度」といった新たな指標としてリアルタイムに可視化しています。 従来の記録には残らないディフェンスの貢献やプレーの質を、高度なデータ分析により定量化して提示する展示がされていました。

【解説文章翻訳】
タイトル:AI駆動の高度なスタッツ(統計)が、データをリアルタイムのインサイト(洞察)に変える
Gravity(グラビティ / 牽引力) : 「グラビティ」は、ディフェンダーに対する選手の目に見えない求心力、つまり選手の動きや評判がどのようにコート上の配置を作り変えるかを明らかにします。AWSは、AIを使って29箇所の身体ポイントを毎秒60フレームで追跡することで、NBAがディフェンスの反応を定量化し、動きを測定可能な「力」へと変換するのを支援しています。
Shot Difficulty(ショット難易度): 「ショット難易度」は、シュートが手から離れる前にその成功確率を予測します。コンピュータビジョンと機械学習を駆使し、AWSはNBAが距離、ディフェンス、角度、リリース(放つ動作)を分析して真のショットの質を測定するのを助け、あらゆる試投を「精度」と「確率」の計算へと変えます。
Defensive Box Score(ディフェンシブ・ボックススコア) : ディフェンスの貢献は必ずしもスタッツシート(成績表)に現れるとは限りませんが、今やあらゆるフレーム(場面)で可視化されています。「ディフェンシブ・ボックススコア」モデルは、AIと光学トラッキングを使用して、コンテスト(シュートチェック)、カバレッジ(守備範囲)、抑止力を捉えます。単に誰がシュートをブロックしたかだけでなく、誰がシュートを「未然に防いだか」——ディフェンダーがいかに動き、反応し、リアルタイムで結果を変えたかを測定します。

【解説文章翻訳】
タイトル:バスケットボールのデジタルの未来を変革する
AWSによるNBAの戦略的なデジタルトランスフォーメーションは、エンタープライズ組織がいかにして比類のない規模、セキュリティ、パフォーマンスを達成できるかを実証しています。
重要なワークロードをAWSに移行することで、リーグはスポーツ技術革新の最前線に立つと同時に、ミッションクリティカルな運用を支えるAWSの実証された能力を示しました。この移行には、NBAの「Direct to Consumer(消費者への直接配信)」プラットフォーム、コアAPI、コンテンツAPI、および顧客ID管理システムが含まれており、堅牢な展開のためにAmazon EKS上に構築されています。
このアーキテクチャでは、ユーザーセッション管理にDynamoDB、アカウントライフサイクル運用にAmazon SQS、自動ワークフローにAWS Lambda、データキャッシングにS3を活用しており、これらすべてがAmazon ShieldとWAFによって保護されています。
右側のモニターには、選手がピンク色の3Dモデルで表示されている映像が映っています。これは「Play Finder XR」という体験型コンテンツで、VR/XR技術を使ってコートの中にいるような視点でプレーやデータを体感できるものになっているようです。
自分は体験せずに外から眺めていたのですが、ゴーゴルを装着した人々はコートの中で動くことなく、ただずっと棒立ち状態だったので「何をしているんだろう?」と不思議だったのですが、どうやらVRで実際のプレイヤーのが目の前で動いている様子を体験していたようですね。ファン体験としては、これ以上ないほどリアルでエキサイティングなんだろうと推測できます。

スマートキャディ・チャレンジ (Smart Caddie Challenge)
- AI/ML(AI/機械学習)
- DATA(データ)
- INFRASTRUCTURE (インフラストラクチャ)
「TOURCAST(ツアーキャスト)」はPGAツアーが提供しているデジタル観戦ツールのサービスだそうですが、それを体験できるようになっていました。解説がボードに記載されていたので、翻訳文章を記載します。

【解説文章翻訳】
TOURCAST(ツアーキャスト)は、各ホールの「デジタルツイン」をファンに提供し、コース全体で起きていることを追跡したり、テレビ中継の枠を超えてお気に入りの選手をフォローしたりすることを可能にします。AWSは、100名以上の選手、3万打以上のショット、4日間の競技にわたる膨大なデータ量を処理し、数秒以内にその分析結果(インサイト)をTOURCASTに統合しています。
2025年の新機能:AWS Bedrockを活用した「自動生成AIコメンタリー(実況解説)」が、ファン体験を一変させます。単に「何が起きたか」を見せるだけでなく、ファンは今や「なぜそれが重要なのか」を理解できるようになります。「その一打で選手はトップ10に入ったのか?」「そのドライバーショットでバーディ確率はどれくらい上がったのか?」「あの難しい6%のパットが入る勝算は?」といった疑問に答えます。
このAI主導のナラティブ(物語生成)機能は、視聴者が好む選手に基づいたパーソナライズされたコンテンツを提供し、従来の放送で取り上げられる一部の選手だけでなく、すべての選手を網羅する包括的なカバレッジを実現します。
つまり、テレビ放送が見られない環境でも、スマホやPC上で試合状況をリアルな3Dマップとともに楽しめる「次世代のリーダーボード/観戦アプリ」のようなシステムで、テレビ中継では映らない選手も含め、全ての選手の動きやボールの軌道をリアルタイムで確認でき、AWS上で膨大なデータ(100名以上の選手、3万打以上のショットなど)を処理し、数秒でインサイト(分析データ)を統合して表示しているほか、生成AIによる自動実況解説機能が追加されるとのことです。
膨大な情報を処理するだけでなく、AIによって自動実況までされるとなると、そこに人間の仕事が入り込む余地や価値が足元から揺らぎそうです。
全体所感
入った時間帯がたまたま空いていたのか、いつもそうなのかは分かりませんが、他の会場と違って混雑した様子もなく、非常に和やかな雰囲気で皆さん最新テクノロジーと戯れている感じでした。この会場では、おやつに生フルーツの串刺しが置いてあったり、フードのクオリティも高いのでまさに「息抜き」としてもピッタリなんですよね。なんせ、人をダメにすることでお馴染みのクッションが中央に並んでいて、横になって休憩されている人もいるほど。

記念に筆者も1つだけゲームに挑戦してみましたが、学習に来ていることも忘れて普通に楽しんでしまいました。一人で来ても十分楽しいですし、数人で訪れたら更に楽しめる場所となっています。広大な会場を歩き疲れた後でも、休憩がてら来てみるのにピッタリですので、参加機会があればぜひ訪れてみてください。