
こんにちは、サーバーワークスで生成AIの活用推進を担当している針生です。
Kiro CLI v1.24.0がリリースされました。
本記事では、公式の変更ログを参照しながら、7つの機能を紹介します。
追加された機能一覧
| 機能 | 概要 | |
|---|---|---|
| 1 | Skills | 大規模ドキュメントの遅延読み込みでコンテキストを節約 |
| 2 | カスタムDiffツール | deltaやdifftasticなど外部diffツールを設定可能 |
| 3 | ASTパターンツール | 構文木ベースの正確なコード検索・変換 |
| 4 | コードインテリジェンス | 18言語対応、LSPセットアップ不要ですぐに使える |
| 5 | 会話コンパクション | コンテキスト制限時に会話履歴を自動要約 |
| 6 | URL権限設定 | web_fetchのアクセス先を細かく制御 |
| 7 | リモート認証 | SSH/SSM/コンテナ経由での認証をサポート |
1. Skillsで大規模ドキュメントを効率的に管理
まず紹介するのは、新しいリソースタイプ「Skills」です。大規模なドキュメントセットを扱う際のコンテキストウィンドウの効率化を目的としています。
Skillsの特徴は遅延読み込みです。起動時にはスキルファイルのメタデータ(名前と説明)だけが読み込まれ、実際のコンテンツはエージェントが必要としたタイミングで初めて読み込まれます。
スキルファイルにはYAMLフロントマターが必須で、詳細な説明を記述することで、エージェントが適切なタイミングでコンテンツを取得できるようになります。これにより、コンテキストウィンドウを節約しながら、大規模なドキュメントを効率的に管理できます。
この機能は、Anthropic社がオープンスタンダードとして公開したAgent Skillsと似たコンセプトになっています。 (Agent Skills仕様に「準拠している」というような記載は見当たりませんでした)
Agent Skillsについては別ブログでも紹介しています。 blog.serverworks.co.jp
Kiro公式ドキュメント kiro.dev
2. カスタムDiffツールで好みの表示に
コード変更の差分表示を、好みのツールでカスタマイズできるようになりました。組み込みのインラインdiffの代わりに、deltaやdifftasticなど外部のdiffツールを設定できます。
# 例: deltaを使用 > kiro-cli settings chat.diffTool delta # カスタム引数付きで設定 > kiro-cli settings chat.diffTool "delta --side-by-side" # デフォルトに戻す > kiro-cli settings -d chat.diffTool
ターミナルベースのツールだけでなく、VS Code、Meld、KDiff3などのGUIツールも設定可能です。普段使い慣れたツールでdiffを確認できるのは嬉しいポイントです。
Kiro公式ドキュメント kiro.dev
3. ASTパターンツールで精密なリファクタリング
新しく追加されたpattern-searchとpattern-rewriteツールは、テキストベースの正規表現ではなく構文木(AST)パターンを使ってコードを検索・変換します。
従来の正規表現による検索では、文字列リテラルやコメント内のパターンにも誤ってマッチしてしまうことがありました。ASTパターンツールはコードの構文構造を理解するため、実際のコード部分だけを正確に対象にできます。
大規模なリファクタリング作業での誤変換リスクを大幅に軽減できる、実用的な機能です。
4. 18言語対応のビルトインコードインテリジェンス
LSP(Language Server Protocol)のセットアップ不要で、すぐに使えるコード理解機能が標準搭載されました。対応言語は以下の18言語です。
- Bash, C, C++, C#, Elixir, Go, Java, JavaScript, Kotlin, Lua, PHP, Python, Ruby, Rust, Scala, Swift, TSX, TypeScript
新しく追加された/code overviewコマンドを使えば、ワークスペース全体の概要を数秒で把握できます。不慣れなパッケージを調査する際に便利な--silentオプションも用意されています。
# ワークスペースの概要を表示 > /code overview # クリーンな出力 > /code overview --silent
シンボル検索、定義へのジャンプ、参照検索、ホバー情報の表示など、LSPベースの機能が手軽に使えるようになりました。
Kiro公式ドキュメント kiro.dev
5. 自動コンパクションで長時間セッションもスムーズに
コンテキスト制限に近づいた際に、重要な情報を保持しながら会話履歴を要約する「会話コンパクション」機能が追加されました。
コンテキストウィンドウがオーバーフローすると自動的にトリガーされるため、長時間のセッションもスムーズに継続できます。
コンパクション後は新しいセッションが作成されますが、/chat resume で元のセッションに戻ることも可能です。
Kiro公式ドキュメント kiro.dev
6. web_fetchツールのURL権限設定
エージェントがアクセスできるURLを細かく制御できるようになりました。エージェント設定ファイルで、信頼できるドメインの自動許可や特定サイトのブロックを設定できます。
{ "toolsSettings": { "web_fetch": { "trustedPatterns": ["^https://docs\\..*", "^https://github\\.com/.*"], "blockedPatterns": ["^https://malicious\\.com/.*"] } } }
ブロックパターンは信頼パターンより優先されるため、セキュアな運用が可能です。チーム全体で一貫したセキュリティポリシーを適用したい場合にも役立ちます。
Kiro公式ドキュメント kiro.dev
7. リモート認証のサポート
SSH、SSM、コンテナ経由でリモートマシン上でKiro CLIを実行する際の認証がサポートされました。
- Google / GitHub: PKCE認証(ポートフォワーディングが必要)
- AWS Builder ID / IAM Identity Center: デバイスコード認証(そのまま使用可能)
Google/GitHubでログインする場合は、ポートフォワーディングを設定してからローカルブラウザで認証を完了します。
# ポートフォワーディングの例 ssh -L 49153:localhost:49153 -N user@remote-host
AWS Builder IDやIAM Identity Centerを使用する場合は、表示されるURLとコードをローカルブラウザで入力するだけで認証が完了します。リモート環境での開発がより手軽になりました。
Kiro公式ドキュメント kiro.dev
まとめ
Kiro CLI v1.24.0では、開発体験を向上させる多くの機能が追加されました。
- Skills: 大規模ドキュメントの効率的な管理
- カスタムDiffツール: 好みのツールで差分を確認
- ASTパターンツール: 正確なコード検索・変換
- コードインテリジェンス: 18言語対応、セットアップ不要
- 会話コンパクション: 長時間セッションでも快適
- URL権限設定: セキュアなweb_fetch運用
- リモート認証: リモート環境での認証をサポート
特にSkillsと会話コンパクションは、長時間のコーディングセッションや大規模プロジェクトでの作業を大きく改善してくれそうです。

参考リンク
針生 泰有(執筆記事の一覧)
サーバーワークスで生成AIの活用推進を担当