AWS Summit に行ってきた!話題のフロンティアエージェント(DevOps Agent / Security Agent / Kiro)を深掘りしてみた
みなさんこんにちは。マネージドサービス課の塩野です。
先日 AWS Summit に参加してきました。
当日は現地(幕張メッセ)に着くと小ぶりの雨が降っていましたが、ムシムシするほどでもなく、暑すぎず寒すぎずちょうどいい気候でした。屋外をほとんど歩かないイベントとはいえ、このくらいの天気だとかえって快適でよかったです。


お昼は幕張メッセ内のレストランで。会場の外に出なくても食べられるのはありがたいですね。


それでは、実際のサミットの様子をお伝えします。
一言で表すなら「AI一色」でした。個別ブースもセッションもとにかく AI の話。正直「また AI の話か」と思うほどでしたが、実際に歩き回ってみると注目度の高さが肌で感じられて、人が集まっているブースは終始ざわついていました。
そんな中で個人的に一番刺さったのが 「運用 × AI」 の領域です。
「開発 × AI」はもうあちこちで話題になっていて、GitHub Copilot を使っているとか、コードレビューを AI にやらせているとか、知っている人も多いと思います。でも「運用 × AI」ってどうなの?という部分はまだピンと来ていない人も多いんじゃないかなと。そのブースに人が集まりまくっていたのが印象的で、自分と同じように「ここが気になっていた」というエンジニアが多かったんだなと感じました。
この記事ではブースで聞いた話をもとに、AWS のフロンティアエージェントについてまとめます。
フロンティアエージェントって何?
AWS は 「フロンティアエージェント(Frontier Agents)」 というカテゴリで、いくつかの AI エージェントをまとめています。
公式の定義によると、
「目標達成のために自律的に動作し、大規模な並行タスクをこなし、介入なしに数時間〜数日間継続稼働できる新しいクラスの AI エージェント」
従来の AI アシスタント(チャットで質問に答えてくれるやつ)とは違い、チームの一員として動き続けて成果を出してくれる存在 として位置づけられています。
現時点のラインナップはこちらです。
| エージェント | 一言で言うと |
|---|---|
| AWS DevOps Agent | 24時間稼働する SRE / 運用エンジニア |
| AWS Security Agent | セキュリティ専門家を開発サイクルに埋め込む |
| Kiro | 仕様からコードまで面倒を見てくれる開発 IDE |
| AWS FinOps Agent(Preview) | コストの監視・最適化を自動化 |
これらを組み合わせることで、開発から運用までの改善サイクルを AI が支援してくれる、というのが AWS の目指す世界観です。
DevOps Agent ── 運用の話ならこれ
ブースで一番推されていたのが AWS DevOps Agent です。
そもそも何ができるの?
DevOps Agent をひとことで言うと「いつでも動いている自律型の運用エンジニア」です。
チャット画面で会話するとシステムの状態を分析してくれたり、スキル(ナレッジベースに登録したルールブック)を使って調査結果をレポーティングしてくれたりします。また、CloudWatch アラートの発火や Webhook などを起点に自律的に環境の調査を開始して、その結果を Slack に通知する、といった使い方もできます。
「Slack だと見づらい」という場合は DevOps Agent の専用画面から確認することもできますし、「この部分をもっと深掘りしたい」と思ったら画面上でそのまま追加で調べさせることもできます。
インシデント対応のイメージ
夜中 3 時にアラート発火 ↓ DevOps Agent が自動で調査開始 ↓ CloudWatch・ログ・デプロイ履歴などを横断して根本原因を特定 ↓ Slack に調査結果・緩和手順を通知 ↓ 翌朝、担当者が詳細を DevOps Agent 画面で確認・深掘り
S3 ログ調査もできる
ブースで特に「なるほど」と思ったのが S3 ログの調査機能 です。公式ドキュメントにも以下のように記載があり対応していることが分かります
Currently, AWS DevOps Agent supports AWS CloudWatch, Amazon S3, Datadog, Grafana, New Relic, and Splunk users with built-in, 1 way integrations. Connecting telemetry sources - AWS DevOps Agent
つまり、大量のログが S3 に溜まっている場合に、DevOps Agent に調査させることができます。ただし、デフォルトでは S3 へのアクセス権がない ので、Agent Space の IAM ロールに以下の権限を追加する必要があります。
{ "Effect": "Allow", "Action": ["s3:GetObject", "s3:ListBucket"], "Resource": [ "arn:aws:s3:::your-log-bucket", "arn:aws:s3:::your-log-bucket/*" ] }
読み取り専用(GetObject・ListBucket)で十分で、書き込み権限は不要です。最小権限の原則に従って、調査対象のバケットだけに絞るのがベストプラクティスです。
なお、Athena については下記ドキュメントのAIDevOpsAgentAccessPolicyに一部アクセス権付与のポリシーが書かれているため使える可能性はありますが、詳細が明記されていないため実際にどこまで使えるかという点で動作確認してみる必要がありそうです。
S3の対応ALB アクセスログや VPC Flow Logs など、S3 に格納されているログを大量に調査したい場面でひとつの有力な選択肢になりそうだな、というのが正直な感触でした。
Security Agent ── セキュリティを開発サイクルに組み込む
次に AWS Security Agent の話を聞いてきました。
何ができるの?
Security Agent は設計フェーズから本番デプロイ後まで、アプリケーションのセキュリティをプロアクティブに守るエージェントです。主な機能はこちらです。
- ペネトレーションテスト:OWASP Top 10 やビジネスロジックの欠陥まで含めた多段階の攻撃シナリオで脆弱性を検出・実証
- コードレビュー:PR スキャンやリポジトリ全体の深層分析(GitHub / GitLab / Bitbucket 対応)
- 脅威モデリング:設計書やソースコードから STRIDE フレームワークで脅威を自動生成して緩和策を提示
- シミュレーション検証:サンドボックス環境でエクスプロイトを実行して「本当に刺さる脆弱性かどうか」を確認(偽陽性を減らす)
Kiro Power との連携がキモ
ブースで聞いた話で印象的だったのが Kiro Power との連携 です。
Security Agent 自体は GitHub / GitLab / Bitbucket といったリポジトリと直接接続する機能をすでに持っています。PR が来たら自動でスキャンしてコメントを付けてくれる、といった連携は単体でも使えます。
では Kiro Power は何が違うのかというと、IDE を一切離れずにその場でスキャン・脅威モデル分析・修正まで完結できる 点です。仕組みはこうです。
Kiro IDE
└─ AWS Security Agent Power をインストール
└─ MCP サーバー経由で Security Agent に接続
├─ コードをスキャン → 結果をインラインで表示
├─ 変更コードだけの差分スキャン(5〜15分)
└─ 設計ドキュメントの脅威モデル分析
コードを書きながら「ちょっと今触ったこの部分、大丈夫かな」と思ったらそのまま Kiro 上でスキャンが走り、結果もインラインで返ってくる。コンテキストスイッチがない分、体験がまるで違います。
なお、Kiro IDE 上で直接できることはコードレビューと脅威モデリングで、ペネトレーションテストは現時点では CLI 経由が主な手段です。
セキュリティの検査ツールは他にもいろいろありますが、脆弱性になりそうな箇所をコードを書きながら Kiro の画面上でつぶしていける のは開発体験として非常に便利だなと感じました。後からまとめて検査するのではなく、書いたそばから気づける、というのは地味に大きいと思います。
フロンティアエージェントが描く改善サイクル
3 つのエージェントを整理すると、開発〜運用のサイクル全体をカバーしていることがわかります。
【設計】─── Security Agent(脅威モデリング) ↓ 【実装】─── Kiro(仕様→コード生成、スペック駆動開発) ↓ 【レビュー】─── Security Agent(コードスキャン・脆弱性検出) ↓ 【リリース】─── DevOps Agent(リリース準備チェック・自律テスト)※Preview ↓ 【運用】─── DevOps Agent(インシデント対応・SRE タスク自動化) ↓ 【改善】─── DevOps Agent(再発防止の推奨事項生成) ↓ また【設計】へ...
「開発 × AI」はコードを速く書く話が多いですが、フロンティアエージェントは このサイクル全体を AI が回し続ける というコンセプトです。どこかで手を抜くのではなく、設計・実装・レビュー・リリース・運用・改善のすべてに AI が入り込んでいる。そこが他の AI ツールとは少し毛色が違うなと感じた点でした。ぜひ実際に使っていきたいと思っています。
最後に ── AI が浸透しても残るもの
セッションの中で印象に残った話があります。
「AI エージェントがどれだけ進化しても、人間が介在しなければならない意思決定の領域は残り続ける」という話でした。
AI が得意なのは大量の情報を素早く処理して選択肢を整理することです。でも最終的に「どちらを選ぶか」「このリスクを取るかどうか」という判断は、文脈と責任を持った人間がやるしかない。
そう考えると、AI 時代に一番求められるのは「AI をうまく使いこなす技術」だけではなく、そうした意思決定の場でのコミュニケーションを円滑にするスキル なのかもしれない、と個人的には思いました。
運用 × AI の世界が広がるほど、人間の仕事の重心はそちらへ移っていく気がします。フロンティアエージェントを触りながら、そんなことを考えた AWS Summit でした。
参考リンク
◆ 塩野 正人
◆ マネージドサービス部 所属
◆ X(Twitter):@shioccii
◆ 過去記事はこちら
前職ではオンプレミスで仮想化基盤の構築や運用に従事。現在は運用部隊でNew Relicを使ってサービス改善に奮闘中。New Relic User Group運営。