Amazon Connect のEmail機能を設定することで、エージェント(オペレーター)は音声やチャットと同じCCPユーザーインターフェイスでメールによる問い合わせに対応することができるようになりました。
設定・動作確認を行ってみます。
設定
公式ドキュメントをベースに設定します。
https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/adminguide/setup-email-channel.html
1. Amazon SESを本番アクセスへ移行する
Amazon SESはデフォルトではサンドボックス(検証モード)となっており、メール送信先などが制限されています。
実際にメールを利用するためには Amazon SESサービスページ左メニューから [設定を始める] をクリック、ページ内の [本番アクセスをリクエスト] よりリクエストします。
実際にはAWSサポートへケース起票、判定の上、本番アクセスへ移行できます。( 参照: 本番アクセスのリクエスト )
2. Amazon ConnectインスタンスへEmailドメインを追加
AWSコンソール Amazon Connectサービスページより対象インスタンスを選択し、左メニューから [Eメール] をクリック、続いて[ドメインを追加] をクリックします。
ここでは 「Amazon Connect の Eメールドメイン」を選択、[追加] をクリックします。 ※このドメインのメールアドレスでお客様とやり取りすることになります。
完了するとドメインリストに表示されます。
ドメイン名リンクをクリックするとAmazon SES(Amazon Simple Email Service)のサービスページが表示されます。
Amazon SESの機能と統合されていることが分かります。
3. メールメッセージ保存先を設定
[データストレージ] をクリックし、メールメッセージの設定を編集します。
メッセージを保存するS3バケットとプレフィックスを指定します。
なお、今回は添付ファイルの設定は省略しました。
4. セキュリティプロファイル設定
管理者向けセキュリティプロファイルにメールアドレスの権限を設定します。
5. メールアドレスを作成
セキュリティプロファイルを設定するとチャネルメニューセクション内に [メールアドレス]が表示されます。
[e メールアドレスを作成] をクリックします。
エイリアスは今回は support@xxx.email.connect.aws
となるように指定しました。
送信者名に サポート担当チーム
、コンタクトフローはBasicQueueへ転送するだけの inbound-email
フローを新規作成し、指定しました。
6. ルーティングプロファイルを設定
対象となるルーティングプロファイルの「チャネルの設定」→「Eメール」をチェック状態とします。
さらに、対象キュー(今回は BasicQueue
)のチャネル列、「Eメール」をチェック状態とします。
動作確認
「メールアドレスを作成」手順で設定したメールアドレス宛に問い合わせメールを送信してみます。
1. お客様から問い合わせメールを送信
2. エージェント側の操作
まずはCCPのEメールタブに着信します。
(音声着信と同じように着信音が鳴ります)
「Eメールを受信」操作するとメール内容が表示されます。
「全員に返信」操作すると返信メール作成画面となります。
一般的なメールツールの画面で違和感もないと思います。
内容を記載して「送信」するとアフターコンタクトワーク(ACW)画面となります。
送信内容が確認できますので、確認後「連絡先を閉じる」をクリックして待機状態へ戻ります。
3. お客様側のメール確認
お客様のメールボックスにて、返信を確認します。
(お客様がさらに返信した場合は再度エージェントへ着信する動作となります)
4. コンタクトセンター側の確認
コンタクトの詳細画面でメールのやりとりを確認できます。 ※メール返信を繰り返した場合も関連付けて表示されるので、コンタクトセンター管理者や他のメンバーもやり取りを追うことが可能となっています
5. メールメッセージ
メールメッセージは設定どおり、S3バケットに保存されます。デフォルトでは EmailMessages
プレフィックスですので下記のようになります。
<S3バケット名>/connect/<instanceエイリアス名>/EmailMessages/YYYY/MM/DD/<xxxxx.json>
フォーマットは下記のようになっていました。
{ "contentType": "text/html", "messageContent": "<!DOCTYPE htm ...." }
または、
{ "contentType": "text/plain", "messageContent": "メール本文<!DOCTYPE htm ...." }
まとめ
Eメールは、広く普及したツールであり、メールアドレスを共有するだけでお客様とのコンタクトが容易になります。
また、電話と同じインターフェースで対応でき、情報がAmazon Connect内に集約されるため、操作性や運用効率の面でも利点があります。そのため、新たなツールを導入するよりも簡単にチャネルを開設できると考えられます。
さらに、電話やチャットのように即時性が求められない場面では、Eメールが適した選択肢となる場合があります。このような場面で活用するのに最適な機能といえるでしょう。