
はじめに
サーバーワークスの池田です。
今週(5/17〜5/23)の Claude Code は v2.1.144 から v2.1.150 まで6バージョンがリリースされました(v2.1.146 は公式 CHANGELOG に記載のない欠番です)。大型の新機能というより、バグ修正と既存機能の安定化が主役の1週間でした。
そのなかでも、日々の運用に効く変更が3点あります。いずれも派手さはないものの、毎日触る部分の挙動が変わるため影響範囲は広いです。
/usageの項目別内訳(v2.1.149): 利用上限を何が消費しているかを skills・subagents・plugins・MCP サーバー別に表示するようになりました。/modelのセッション単位化(v2.1.144): モデル選択が現在のセッション限定になり、新規セッションの既定にしたいときはdで保存する方式に変わりました。claude agentsとバックグラウンドセッションの定着(v2.1.144〜v2.1.147):/resume対応やピン留めセッションの常駐など、運用面の地固めが進みました。
この記事で分かること
- 利用上限の消費元を skills・subagents・plugins・MCP サーバー別に表示する
/usageの項目別内訳(v2.1.149)の見方と、コスト最適化への活かし方 - モデル選択が現在のセッション限定になった
/modelのセッション単位化(v2.1.144)と、dで既定を保存する新しい操作、複数セッション運用での意味 /resumeのバックグラウンドセッション対応・ピン留めセッションの常駐・claude agents --jsonなど、claude agents周辺の定着(v2.1.144〜v2.1.147)/simplifyから/code-reviewへの改名と役割変更、/extra-usageから/usage-creditsへの改名といったコマンドの整理- 起動ハングの短縮、
findによるホストクラッシュの修正、PowerShell と worktree のセキュリティ修正など、運用に効くその他の変更点
今週の主要アップデート一覧
| 機能 | バージョン | 主な変更点 | 参照 |
|---|---|---|---|
/usage の項目別内訳 |
v2.1.149 | 利用上限の消費元を skills・subagents・plugins・MCP サーバー別に表示。日/週ビューを切り替え可能 | CHANGELOG.md |
/model のセッション単位化 |
v2.1.144 | /model が現在のセッションのみに適用され設定ファイルには書かれない。d で新規セッションの既定として保存 |
Model config |
claude agents・バックグラウンドの定着 |
v2.1.144〜v2.1.147 | /resume がバックグラウンドセッション対応、ピン留めセッションが idle でも常駐、claude agents --json 追加 |
公式ドキュメント・CHANGELOG.md |
注目アップデート1 /usage の項目別内訳で「何が利用上限を食っているか」が見える
前提 — 「使い切った」は分かるが「何が使ったか」は見えなかった
/usage は以前から、現在のセッションのコストとプランの利用上限、アクティビティ統計を表示するコマンドでした。/cost と /stats はそのエイリアスです。
ただし表示されるのは「全体としてどれだけ使ったか」が中心で、その消費を何が生んでいるのかまでは分かりませんでした。サブエージェントを並列で走らせる運用が広がるなか、消費の内訳が見えないことは最適化の障害になっていました。
何が変わったのか
v2.1.149 で、/usage の表示が拡張され、利用上限を何が押し上げているかが分かるようになりました。画面は大きく2段に分かれます。
上段の「What's contributing to your Limits usage?(利用上限への寄与)」では、消費の傾向が割合と最適化のヒント付きで示されます。「サブエージェントを多用したセッションが69%」「150kトークン超のコンテキストが68%」「4つ以上のセッションが並列で動いた時間が12%」といった見え方です。
これらは独立した観点で、合計が100%になる内訳ではありません。各項目には「サブエージェントには安いモデルを検討する」「タスクの切れ目で /clear する」といった、消費を抑えるヒントが添えられます。
下段では、Skills・Subagents・MCP サーバーごとに使用量の割合が一覧表示されます。どのスキル・サブエージェント・MCP サーバーが消費を生んでいるかが、名前と割合で並びます。
/usage の Usage タブ。上段に消費の傾向、下段に Skills・Subagents・MCP サーバー別の割合が表示される
表示は d で日ビュー、w で週ビューに切り替えられます。直近24時間で何が効いているかと、週単位の傾向の両方を確認できます。
実務での活用方法
サブエージェントやスキルを多用する構成では、消費がどこに偏っているかが一目で分かるようになります。たとえば特定の MCP サーバーが想定外にコストを生んでいれば、その接続を見直す判断材料になります。
スキル単位の内訳が出ることも実用的です。常時ロードされるスキルが多いほどコンテキスト税が積み上がるため、/usage で重いスキルを特定し、整理する運用につなげられます。
注意点・制約
表示されるドル換算はトークン数からローカルで概算した推定値で、実際の請求額とは差が出ることがあります。正確な請求情報は Claude Console の Usage ページを確認してください。
サブスクリプション利用の場合、セッションのドル額は課金には直結しません。Max・Pro 利用者は同じ画面のプラン利用バーとアクティビティ統計を見るのが基本です。
注目アップデート2 /model がセッション単位になり、既定は d で保存する方式に変わった
前提 — これまでの /model は設定ファイルを書き換えていた
/model は使用するモデルを切り替えるコマンドです。以前はこの選択が設定ファイルに書き込まれ、以後の新規セッションにも引き継がれていました。
この挙動は、複数のセッションを並行させる運用と相性がよくありませんでした。あるセッションで一時的に別モデルへ切り替えただけのつもりが、ほかのセッションや既定にまで波及してしまうためです。
何が変わったのか
v2.1.144 から、/model は現在のセッションのみに適用され、設定ファイルには書かれなくなりました。一時的なモデル切り替えがセッションをまたいで漏れることがなくなります。
新規セッションの既定として保存したい場合は、引数なしで /model を開いてピッカーを表示し、対象の行で d を押します。これでユーザー設定の model フィールドに書き込まれます。
/model のピッカー。上部に「Applies to this session only」、最下部に「d to set as default for new sessions」と表示される
会話にすでに出力がある状態でモデルを切り替えると、ピッカーは確認を求めます。次の応答がキャッシュなしで履歴全体を読み直すためです。確認後は現在の応答の完了を待たずに切り替えが適用されます。
既定のモデルは settings.json の model フィールドで設定する
セッション単位になったぶん、「新規セッションの既定はどこで決まるのか」が気になります。既定はユーザー設定ファイル ~/.claude/settings.json の model フィールドで管理されます。
設定方法は2つあります。1つは前述のピッカーで d を押す方法で、選んだモデルが自動的に model フィールドへ書き込まれます。もう1つは settings.json を直接編集する方法です。
{ "model": "opus" }
model にはエイリアス(opus / sonnet / haiku)のほか、claude-opus-4-7 のような完全なモデル名も指定できます。起動時の --model フラグや ANTHROPIC_MODEL 環境変数は、この既定をそのセッションに限って上書きします。
実務での活用方法
複数のセッションや worktree、バックグラウンドセッションを並走させる場合に効きます。重い処理だけ別モデルに振りたいセッションがあっても、ほかの環境の設定を汚さずに済みます。
関連して、再開したセッションは別セッションの /model の選択を拾わず、元のモデルを維持するようになりました(v2.1.144)。セッションごとのモデルが意図せず入れ替わる事故が減ります。
注意点・制約
マネージド設定(managed settings)が存在する場合はそちらが優先され、次回起動時に再適用されます。組織で配布された設定がある環境では、d で保存した既定が上書きされる場合があります。
d のキーバインドは modelPicker:setAsDefault として定義されています。キーバインドをカスタマイズしている場合は割り当てを確認してください。
claude agents とバックグラウンドセッションの運用が固まってきた
先週取り上げた claude agents のエージェントビューは、今週も周辺の整備が続きました。単体で大きな新機能ではないものの、バックグラウンド運用を日常的に使ううえでの地固めが進んでいます。注目の2機能ほど派手ではありませんが、バックグラウンド派には効く変更がまとまっています。
/resume がバックグラウンドセッションに対応した(v2.1.144)
claude --bg やエージェントビューから起動したバックグラウンドセッションが、/resume の一覧にインタラクティブなセッションと並んで表示されるようになりました。一覧では bg の印が付きます。
これまでバックグラウンドセッションは claude attach で個別に覗くのが基本でしたが、再開導線が通常のセッションと統合されました。
ピン留めセッションは idle でも常駐する(v2.1.147)
claude agents で Ctrl+T を押してピン留めしたバックグラウンドセッションは、アイドル状態でも終了しなくなりました。Claude Code の更新を反映する際はその場で再起動され、メモリ逼迫時もピン留めしていないセッションより後に落とされます。
常駐させたい監視用セッションなどを、勝手に落とされずに保持しやすくなりました。
claude agents --json でセッション一覧をスクリプトから扱える(v2.1.145)
claude agents --json で、稼働中の Claude セッションを JSON として一覧できるようになりました。tmux-resurrect やステータスバー、セッションピッカーなど、外部ツールからの利用を想定したオプションです。
コマンドの整理・リネーム
今週はコマンド名と役割の整理が2件ありました。いずれも旧名は当面動作します。
| 変更 | 内容 | バージョン | 参照 |
|---|---|---|---|
/simplify → /code-review |
改名し、役割をコードレビューに変更 | v2.1.147 | CHANGELOG.md |
/extra-usage → /usage-credits |
「extra usage」から「usage credits」へ表記統一 | v2.1.144 | Commands |
/usage-credits(旧 /extra-usage)で従量課金を管理する
/usage-credits(旧 /extra-usage)は、利用上限に達したあとも従量課金で作業を続けるための画面です。残高や今月の上限、リセット日を確認し、上限の調整や追加購入ができます。
/usage-credits(旧 /extra-usage)。残高・今月の上限・リセット日を確認し、上限の調整や追加購入を行える
/simplify が /code-review に変わり、役割も変わった
単なる改名ではなく、コマンドの役割そのものが変わりました。従来の /simplify はコードの整理と修正を行うものでしたが、その挙動は廃止されています。
新しい /code-review は、指定した effort レベルで正確性のバグを報告します。/code-review high のようにレベルを指定でき、--comment フラグを付けると検出結果を GitHub PR のインラインコメントとして投稿します。コードを直すコマンドから、レビューに特化したコマンドへ性格が変わったと言えます。
その他の変更点
今週はバグ修正が中心で、v2.1.147 だけでも約30件の修正が入りました。ここでは運用への影響が大きいものを抜粋します。
| 変更点 | 区分 | バージョン | 参照 |
|---|---|---|---|
api.anthropic.com に到達できないとき起動が最大75秒ハングする問題を、サイドチャネルのAPI呼び出しを15秒でタイムアウトさせて解消 |
バグ修正 | v2.1.144 | CHANGELOG.md |
Bash ツールの find が macOS のファイル/vnode テーブルを枯渇させ、大きなディレクトリツリーでホストごとクラッシュする問題を修正 |
バグ修正 | v2.1.149 | CHANGELOG.md |
PowerShell の組み込み cd(cd.. cd\ など)でワーキングディレクトリが検知されずに変更され、後続コマンドがワークスペース外を読めてしまう権限バイパスを修正 |
セキュリティ | v2.1.149 | CHANGELOG.md |
git worktree でのサンドボックス書き込み許可が、共有の .git ディレクトリだけでなくメインリポジトリ全体に及んでいた問題を修正 |
セキュリティ | v2.1.149 | CHANGELOG.md |
Markdown 出力が GFM のタスクリスト(- [ ] / - [x])をチェックボックスとして描画 |
改善 | v2.1.149 | CHANGELOG.md |
/diff の詳細ビューをキーボード(矢印・j/k・PgUp/PgDn など)でスクロール可能に |
改善 | v2.1.149 | CHANGELOG.md |
| Bash ツールがすべてのコマンドで終了コード127を返す回帰(v2.1.147 で混入)を修正 | バグ修正 | v2.1.148 | CHANGELOG.md |
まとめ・次週の注目ポイント
今週は突き抜けた新機能こそありませんでしたが、/usage の項目別内訳と /model のセッション単位化は、毎日触る部分の使い勝手を確実に底上げする変更です。利用上限への関心が高まるなか、消費の内訳が見えるようになった意味は小さくありません。
claude agents 周辺は先週から続けて安定化が進んでおり、バックグラウンド運用が実用域に入りつつあります。来週もエージェントビュー周辺の改善が続くか、注目していきます。