Claude Code更新 Computer Use・Dispatch・Auto Mode【3/22〜28】

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はじめに

サーバーワークスの池田です。

今週(3/22〜3/28)の Claude Code は v2.1.83 がリリースされました。Desktop アプリでは Computer Use と Dispatch が research preview として登場し、CLI では Auto Mode やクラウド定期タスクが追加された大型アップデート週です。

この記事で分かること

  • Computer Use で Claude が Mac の画面を直接操作できるようになったこと。設定方法とアプリごとの権限レベル。
  • Dispatch でスマホから Mac にタスクを投げ、完了通知を受け取れること。Cowork との連携。
  • Auto Mode で分類器ベースの自動権限承認が可能になったこと。デフォルトのブロック・許可ルール。
  • Cloud Scheduled Tasks で PC がオフでもクラウド上で定期タスクが実行できること。3方式の使い分け。

今週の主要アップデート一覧

カテゴリ 主な変更点 バージョン 参照
Desktop Computer Use で Mac の画面を操作(research preview、Pro/Max) v2.1.81 公式ドキュメント
Desktop Dispatch でスマホからタスクを投げて Desktop で実行(Pro/Max) v2.1.81 公式ブログ
パーミッション Auto Mode で分類器が権限承認を自動判断(Team) v2.1.83 公式ブログ
スケジューリング Cloud Scheduled Tasks でクラウド上の定期実行 v2.1.81 公式ドキュメント

Computer Use — Claude が Mac の画面を操作する

何が変わったのか

Desktop アプリに Computer Use が research preview として追加されました。Claude がアプリを開き、クリック・タイプ・スクロールを行って、画面上で直接作業できます。

公式ブログでは以下のように紹介されています。

Claude can use your computer on your behalf while you're away. When Claude doesn't have access to the tools it needs, it will point, click, and navigate what's on your screen to perform the task itself.

Claude はツールの優先順位を持っています。MCP Connector があればそれを使い、シェルコマンドなら Bash を、ブラウザ操作なら Chrome 連携を優先します。どれにも該当しない場合に Computer Use が使われます。

Settings > デスクトップアプリ > 一般 から Computer Use を有効化できます

有効化には macOS の アクセシビリティ(クリック・タイプ・スクロール用)と画面録画(スクリーンショット閲覧用)の2つの権限が必要です。設定画面に各権限のステータスが表示されます。

また「拒否されたアプリ」にアプリを追加すると、Claude からのアクセスを自動拒否できます。Claude が間接的に操作する可能性はありますが、直接のアクセスはブロックされます。

Claude が初めてアプリを使う際には、セッション内に承認プロンプトが表示されます。このプロンプトには、アプリのカテゴリに応じた操作権限レベルが示されます。

権限レベル Claude ができること 対象アプリ
View only スクリーンショットの閲覧のみ ブラウザ、取引プラットフォーム
Click only クリックとスクロール(キーボード入力不可) ターミナル、IDE
Full control クリック、タイプ、ドラッグ、キーボードショートカット その他すべて

これらの権限レベルはアプリカテゴリごとに固定されており、ユーザーが変更することはできません。Terminal や Finder など広範なアクセスを持つアプリでは追加の警告が表示されます。

以下は Aqua Voice アプリの辞書にカスタムワードを登録する例です。

「完全な制御」の権限で Aqua Voice へのアクセス許可を求めるプロンプト。「拒否」か「このセッションで許可」を選択します

許可すると、Claude がアプリを開いて画面上で操作を進めます。

Claude が Aqua Voice を開き、辞書画面に移動して「テスト」を登録するまでの step-by-step の操作ログ

最終的に、Aqua Voice の辞書に「テスト」が登録されたことを確認できます。

Aqua Voice の辞書画面。Claude が登録した「テスト」が表示されています

実務での活用方法

Computer Use は「既存ツールではカバーできない操作」に向いています。具体的には以下のようなユースケースが考えられます。

  • iOS Simulator でのネイティブアプリテスト
  • API を持たない社内ツールやデスクトップアプリの操作
  • GUI でしか設定できないハードウェア制御パネルの操作

通常のコーディング作業では Bash ツールやファイル編集が優先されるため、Computer Use が発動する場面は限定的です。「既存ツールで届かない場所を補完する」位置づけと考えるとよいでしょう。

注意点・制約

  • Desktop アプリ限定です。CLI や VS Code 拡張からは利用できません。
  • macOS のみ対応しています(Windows は未対応)。
  • Pro / Max プランが必要です。Team / Enterprise では利用できません。
  • macOS の AccessibilityScreen Recording 権限の付与が必要です。
  • サンドボックス化された Bash ツールとは異なり、実際のデスクトップ上で動作します。安全ガイドの確認を推奨します。

Dispatch — スマホから Mac にタスクを投げる

何が変わったのか

Dispatch は Claude モバイルアプリ(iOS / Android)から Mac にタスクを送れる新機能です。Cowork タブに常駐する持続的な会話として動作します。

仕組みは次のとおりです。

  1. スマホの Claude アプリで Dispatch にタスクを送信します。
  2. Dispatch がタスクの種類を自動判断します。
  3. コード系のタスク(バグ修正、テスト実行、PR 作成など)は Claude Code セッションとして生成されます。
  4. それ以外(リサーチ、ドキュメント編集など)は Cowork 内で処理されます。

生成された Code セッションは Desktop のサイドバーに Dispatch バッジ付きで表示されます。完了時や承認が必要なときにスマホへプッシュ通知が届きます。

Desktop の Cowork タブにある Dispatch。初回のウェルカムメッセージでユースケース例が表示されます

スマホの Claude アプリからも同じ Dispatch スレッドにアクセスできます

実務での活用方法

Dispatch は「その場にいなくてもタスクを進められる」体験を提供します。

  • 通勤中にバグ修正を依頼: スマホから「ログイン画面のバリデーションエラーを修正して」と送り、帰宅後に Mac で結果を確認
  • 定型作業の委任: 「依存パッケージを更新してテストを実行して」のような定型タスクを外出先から投げる
  • PR 作成の依頼: 「feature ブランチの変更を PR にまとめて」と指示

Computer Use が有効な場合、Dispatch 経由のセッションでも画面操作が可能です。ただし、アプリの承認は通常セッションと異なり 30分で期限切れとなります。

注意点・制約

  • Pro / Max プランが必要です。Team / Enterprise では利用できません。
  • Desktop アプリが起動中かつ Mac がスリープしていない必要があります。
  • セットアップ手順に従い、モバイルアプリと Desktop のペアリングが必要です。

Dispatch は Claude Code の「リモートアクセス」手段の一つです。Platforms ページで Remote Control・Channels・Slack・Scheduled Tasks との比較が確認できます。

既知の不具合(3/29 時点)

Dispatch でメッセージが「✓読み取り」になるが応答が返らない不具合が 3/27 頃から発生しています。

GitHub 上で複数の報告が上がっており(#40178#40179#40257)、Anthropic のエンジニアが Desktop アプリ v1.9310 でのデグレードを認め、調査中と回答しています。macOS・Windows の両方で発生しており、再起動やセッション削除では解消しません。Dispatch を試す場合はこの不具合が修正されてからをおすすめします。

Auto Mode — 分類器ベースの自動権限承認

何が変わったのか

Auto Mode は新しいパーミッションモードです。ファイル書き込みや Bash コマンドのたびに手動で承認する代わりに、バックグラウンドの分類器(Sonnet 4.6)がツール呼び出しを事前チェックし、安全と判断されたものを自動的に承認します。

公式ブログでは次のように説明されています。

Before each tool call runs, a classifier reviews it to check for potentially destructive actions. Actions that the classifier deems as safe proceed automatically, and risky ones get blocked, redirecting Claude to take a different approach.

CLI では起動時に --enable-auto-mode フラグを付けたうえで、Shift+Tab でモードを切り替えます。defaultacceptEditsplanauto の順にサイクルします。

claude --enable-auto-mode

ただし、対応プラン以外では以下のように表示され、利用できません。

Max プランで --enable-auto-mode を指定した場合。「auto mode is unavailable for your plan」と表示されます

分類器がデフォルトでブロック・許可する操作は以下のとおりです。

ブロック(デフォルト):

  • curl | bash のようなダウンロード&実行
  • 外部エンドポイントへの機密データ送信
  • 本番デプロイやマイグレーション
  • クラウドストレージの大量削除
  • main への force push

許可(デフォルト):

  • 作業ディレクトリ内のローカルファイル操作
  • ロックファイルに宣言済みの依存パッケージのインストール
  • 読み取り専用の HTTP リクエスト
  • 自分のブランチへの push

デフォルトルールは claude auto-mode defaults で確認できます。組織のリポジトリやバケットが誤ってブロックされる場合は、管理者が autoMode.environment 設定で信頼済みインフラを追加できます。

実務での活用方法

Auto Mode は長時間タスクでの「承認疲れ」を解消します。

claude --permission-mode auto

サブエージェントにも分類器チェックが適用されます。スポーン時にタスク内容を、完了時にアクション履歴を検証します。問題が検出された場合、セキュリティ警告が結果に付与されます。

分類器が3回連続または合計20回ブロックすると、auto mode は一時停止し、手動承認に戻ります。

注意点・制約

  • Team プラン限定です。Pro / Max では「auto mode is unavailable for your plan」と表示され利用できません。Enterprise / API は近日対応予定です。
  • 起動時に --enable-auto-mode フラグが必要です。フラグなしでは Shift+Tab のサイクルに auto が表示されません。
  • Team / Enterprise では管理者が Claude Code 管理設定で事前に有効化する必要があります。
  • Sonnet 4.6 または Opus 4.6 が必要です。Haiku や claude-3 モデルでは利用できません。
  • 分類器の呼び出し分、トークン消費が増加します。
  • research preview であり、安全性を保証するものではありません。機密性の高い操作は引き続き手動レビューを推奨します。

Cloud Scheduled Tasks — PC オフでも動くクラウド定期タスク

何が変わったのか

Cloud Scheduled Tasks が新たに追加されました。Anthropic の管理インフラ上でタスクが実行されるため、PC がオフでも動作します。

作成方法は3つあります。

  • Web: claude.ai/code/scheduled にアクセスして作成
  • Desktop: Schedule ページから New taskNew remote task を選択
  • CLI: /schedule コマンドで対話的に設定

以下は CLI で「毎朝8時に東京の天気を通知する」タスクを作成する例です。

/schedule に自然言語で指示すると、Claude が通知方法・スケジュール・リポジトリなどを対話的に確認します

内部では RemoteTrigger ツールが使われており、createlistgetupdaterun の操作が可能です。

CLI から利用できる RemoteTrigger の操作。実行結果は claude.ai/code/scheduled でも確認できます

作成したタスクは Desktop アプリの「スケジュール済みタスク」ページに表示されます。

Desktop アプリのコードタブ。「東京天気通知」が毎日8:00に実行されるタスクとして登録されています

タスクの詳細ページでは、プロンプト・リポジトリ・スケジュール・過去の実行履歴を確認できます。「今すぐ実行」ボタンでスケジュール外の即時実行も可能です。

タスク詳細。実行間隔、プロンプト内容、過去の実行履歴が一覧できます

実務での活用方法

実際に「東京天気通知」タスクを実行した結果がこちらです。

Claude が WebSearch で天気情報を取得し、気温・降水確率・風速などを日本語でまとめています

このように、Cloud Scheduled Tasks は以下のような定期業務の自動化に向いています。

  • 毎朝のオープン PR レビュー
  • CI 失敗の夜間分析とサマリー作成
  • PR マージ後のドキュメント同期
  • 週次の依存パッケージ監査

Cloud / Desktop / /loop の3つのスケジューリング方式を比較すると次のとおりです。

項目 Cloud Desktop /loop
実行場所 Anthropic クラウド ローカル ローカル
PC 起動が必要 いいえ はい はい
ローカルファイルアクセス 不可(都度 clone) 可能 可能
セッション不要 はい はい いいえ
最短間隔 1時間 1分 1分

注意点・制約

  • Cloud タスクはリポジトリを毎回 clone するため、ローカルの未コミット変更にはアクセスできません。
  • 最短実行間隔は 1時間です。
  • Pro / Max / Team / Enterprise の全プランで利用可能です。
  • タスクは自律実行されるため、プロンプトは明確かつ自己完結的に書く必要があります。

その他の変更点

変更点 バージョン 参照
Channel Permission Relay でツール承認プロンプトをスマホへ転送 v2.1.81 公式ドキュメント
managed-settings.d/ ドロップインディレクトリで複数チームのポリシー分離 v2.1.83 Releases
CwdChanged / FileChanged hook イベントで direnv 等の環境管理に対応 v2.1.83 Releases
Transcript search — Ctrl+O のトランスクリプトモードで / 検索が可能に v2.1.83 Releases
貼り付け画像に [Image #N] チップが挿入され、プロンプト内で位置指定が可能に v2.1.83 Releases
MCP headersHelper でカスタム認証(Kerberos、短命トークン等)に対応 v2.1.81 公式ドキュメント
Platforms ページ新設 — 全プラットフォーム・インテグレーションの比較 v2.1.81 公式ドキュメント
Permission Modes ページ新設 — 全モードの詳細ガイド v2.1.81 公式ドキュメント
macOS で caffeinate プロセスが終了しない問題を修正 v2.1.83 Releases
起動時の UI フリーズ(音声入力のネイティブモジュール遅延読み込み)を修正 v2.1.83 Releases

まとめ

今週は Desktop 向けに Computer Use と Dispatch、CLI / Web 向けに Auto Mode と Cloud Scheduled Tasks と、Claude Code の「自律性」を大きく拡張するアップデートが揃いました。

Computer Use と Dispatch は現時点では Desktop アプリ(macOS)の Pro / Max プラン限定ですが、スマホから Mac を操作できる体験は今後の開発ワークフローに大きな変化をもたらす可能性があります。Auto Mode は Team プランから利用でき、長時間の開発タスクでの生産性向上が期待できます。

Computer Use は現状 Desktop アプリ限定ですが、CLI からも利用できるようになれば、スクリプトや CI と組み合わせた GUI テストの自動化など活用の幅が大きく広がりそうです。Enterprise / API 向けの Auto Mode 対応や Dispatch の不具合修正も含め、次週以降の動向に注目です。