
はじめに
サーバーワークスの池田です。
2026年3月10日に Claude Code v2.1.72 がリリースされました。50項目以上の変更を含む大型アップデートです。新たに追加された brief モード、/plan の引数サポート、effort UI の刷新、CLAUDE.local.md の廃止が注目ポイントです。本記事では実務に影響の大きい変更点を中心に解説します。
この記事で分かること
- v2.1.72 で追加された
--briefフラグと/briefコマンドの概要。SendUserMessage ツールによるエージェント・ユーザー間通信の仕組み。 /planコマンドに引数サポートが追加され、/plan fix the auth bugのように即座にプランモードに入れるようになったこと。- effort レベルの UI が刷新され、新シンボル ○ ◐ ● が追加されたこと。changelog と実際の挙動の乖離について。
- CLAUDE.local.md がドキュメントから削除され、ホームディレクトリからの import が推奨パターンになったこと。
ExitWorktreeツールの追加で worktree セッションの離脱が可能になったこと。
主要アップデート一覧
| カテゴリ | 主な変更点 | 参照 |
|---|---|---|
| 新機能 | --brief フラグ + /brief コマンド追加 |
Releases |
| ワークフロー | /plan 引数サポート |
Releases |
| UI/UX | effort レベル UI 刷新(新シンボル ○ ◐ ●) | Releases |
| 設定 | CLAUDE.local.md 廃止 | 公式ドキュメント |
| ツール | ExitWorktree 追加 |
公式ドキュメント |
--brief フラグと /brief コマンドの追加
v2.1.72 で --brief フラグと /brief コマンドが追加されました。claude --help の出力にも新しいフラグとして表示されます。
何が追加されたのか
--brief フラグの説明は "Enable SendUserMessage tool for agent-to-user communication" とされています。セッション中に /brief コマンドでモードの切り替えも可能です。
claude --help の出力。末尾に --brief フラグが新たに追加されており、"Enable SendUserMessage tool for agent-to-user communication" と説明されています
関連する環境変数として CLAUDE_CODE_BRIEF と CLAUDE_CODE_BRIEF_UPLOAD も追加されています。
どんな機能か
brief モードを有効にすると、Claude がユーザーへメッセージを送る専用ツール(SendUserMessage)が使えるようになります。Claude が裏で作業しつつ、必要な時だけユーザーにメッセージを送る「静かなモード」と考えられます。
通常モードでは Claude の思考過程やツール実行の詳細がすべて表示されます。brief モードではそれらが省略され、Claude が明示的に SendUserMessage で送ったメッセージだけが表示される仕組みです。
実際に claude --brief で起動してみると、システム指示の中に「Output efficiency」セクションが埋め込まれていることが確認できます。要点にまっすぐ行く、テキスト出力は簡潔で直接的に、フィラーワードや前置きをスキップ、といった指示が含まれているようです。
claude --brief で起動した様子。システムプロンプトに「Output efficiency」セクションが埋め込まれ、簡潔な出力スタイルが指示されます。
注意点
公式ドキュメントにはまだ詳細な説明が掲載されていません。今後仕様が変わる可能性があります。環境によっては /brief コマンドが表示されない場合もあります。
/plan コマンドの引数サポート
v2.1.72 で /plan コマンドに引数を渡せるようになりました。
何が変わったのか
changelog には以下のように記載されています。
Added optional description argument to
/plan(e.g.,/plan fix the auth bug) that enters plan mode and immediately starts
従来は /plan でプランモードに入ってから、改めて指示を入力する2ステップが必要でした。v2.1.72 からは /plan fix the auth bug のように1ステップで済みます。
# 従来(2ステップ) /plan > fix the auth bug # v2.1.72以降(1ステップ) /plan fix the auth bug
/plan を入力すると [open|<description>] というヒントが表示され、引数を受け付けることが分かります。
/plan と入力した時点で [open|<description>] のヒントが表示されます。open で既存プランを開くか、説明文を渡して新しいプランを開始できます
実務での活用
複雑なリファクタや設計判断を伴うタスクの開始が1コマンドに短縮されます。
実際に /plan 記事のチェックを行ってください。 のように引数を渡すと、プランモードに入って即座に作業が始まります。ステータスバーに「plan mode on」と表示され、プランモード中であることが一目で分かります。
/plan 記事のチェックを行ってください。 を実行した様子。プランモードに入り、ファイルの読み込みやサブエージェントの起動が始まっています。ステータスバーの「plan mode on (shift+tab to cycle)」でプランモード中であることが確認できます
effort レベルの簡素化
v2.1.72 で effort レベルが整理されました。前週の記事で紹介した effort デフォルト変更の続きとなるアップデートです。
何が変わったのか
changelog の記載は以下のとおりです。
Simplified effort levels to low/medium/high (removed max) with new symbols (○ ◐ ●) and a brief notification instead of a persistent icon. Use
/effort autoto reset to default
changelog には "removed max" と記載されていますが、筆者の環境では max は引き続き利用可能でした。また /effort auto についても、筆者の環境ではコマンドが見つかりませんでした。主な変更点は UI の刷新です。
- 新シンボル: effort レベルが ○(low)◐(medium)●(high)のシンボルで表示されるようになりました。
- 表示の簡素化: 常に表示されていた effort アイコンが、変更時の一時的な通知に変わりました。
changelog の記載と筆者の環境での挙動に差異があるため、段階的にロールアウトされている可能性があります。
/model コマンドの Select model 画面。下部に ◐ シンボルと「Medium effort (default)」が表示されています。左右キーで effort レベルを切り替えられます
High effort に切り替えた状態。● シンボルに変わり、「High effort」と表示されています
前週からの変化
前週の記事では、v2.1.68 で Opus 4.6 の effort デフォルトが high から medium に変更されたことを紹介しました。今回の v2.1.72 では UI が刷新され、新シンボルと簡素化された通知表示に変わっています。effort の仕組み全体がよりシンプルになりました。
CLAUDE.local.md の廃止
v2.1.72 のドキュメント更新で CLAUDE.local.md がドキュメントから削除されました。
何が変わったのか
公式ドキュメント(memory.md)の CLAUDE.md スコープテーブルから "Local instructions" の行が完全に削除されています。
- | **Local instructions** | `./CLAUDE.local.md` | Personal project-specific preferences, not checked into git | ...
settings.md でも CLAUDE.md の Local 列が「—」に変更されました。
- | **CLAUDE.md** | `~/.claude/CLAUDE.md` | `CLAUDE.md` or `.claude/CLAUDE.md` | `CLAUDE.local.md` | + | **CLAUDE.md** | `~/.claude/CLAUDE.md` | `CLAUDE.md` or `.claude/CLAUDE.md` | — |
best-practices.md からも CLAUDE.local.md の記載が削除されています。
移行方法
代替として、ホームディレクトリからの import が推奨されています。共有の CLAUDE.md に import を記述し、ファイル自体は自分のマシンにだけ置くパターンです。
# Individual Preferences @~/.claude/personal-instructions.md
既存の CLAUDE.local.md の内容を ~/.claude/personal-instructions.md 等に移動して、CLAUDE.md から import する形にすると移行できます。
注意点
既存の CLAUDE.local.md が即座に動かなくなるわけではありません。ただし、ドキュメントからは推奨が消えた状態です。
worktree を使っている場合、CLAUDE.local.md は1つの worktree にしか存在しない問題がありました。ホームディレクトリからの import であれば、すべての worktree で同じ個人設定を共有できます。CLAUDE.md の HTML コメント(<!-- -->)が自動注入時に非表示化される変更も同時に入っています。
ExitWorktree ツールで worktree セッションの離脱が可能に
v2.1.72 で ExitWorktree ツールが追加されました。
何が変わったのか
changelog には以下のように記載されています。
Added
ExitWorktreetool to leave anEnterWorktreesession
EnterWorktree で作成した隔離された git worktree セッションから、元のディレクトリに戻れるようになりました。公式ドキュメント(settings.md)のツール一覧にも以下の説明で追加されています。
Exits a worktree session and returns to the original directory
これまでは worktree に入ったら抜ける手段がなく、セッション終了するしかありませんでした。ExitWorktree の追加により、worktree を使った並列作業ワークフローが1セッション内で完結します。
実務での活用
worktree で隔離環境を作って検証し、結果を確認してから ExitWorktree で元に戻る、というフローが可能になりました。Agent ツールの isolation: "worktree" でサブエージェントに並列作業させる場合にも関連するツールです。
claude -w test で worktree セッションを開始し、「ワークツリーから抜けてください。」と指示すると ExitWorktree が実行されます。「Removed worktree (branch worktree-test)」「Returned to /Users/.../ccblog」と表示され、元のディレクトリに戻っています
注意点
worktree で変更を加えた場合、ExitWorktree 後も worktree は残ります。変更がない場合は自動的にクリーンアップされます。
その他の変更点
新機能・改善
| 変更点 | 参照 |
|---|---|
/copy に w キー追加(ファイルに直接書き出し、SSH 向け) |
Releases |
Agent tool に model パラメータ復活(サブエージェントごとにモデル指定可能) |
Releases |
CLAUDE_CODE_DISABLE_CRON 環境変数でスケジュールタスクを即停止 |
Releases |
bash auto-approval に lsof, pgrep, tput, ss, fd, fdfind 追加 |
Releases |
/config 改善(Escape でキャンセル、Enter で保存、Space でトグル) |
Releases |
| 音声入力の精度向上(リポジトリ名、regex、OAuth、JSON 等の認識改善) | Releases |
マーケットプレイスが .git なし URL に対応(Azure DevOps、AWS CodeCommit) |
Releases |
パフォーマンス
| 変更点 | 参照 |
|---|---|
| バンドルサイズ約 510KB 削減 | Releases |
| bash コマンドパーサーをネイティブモジュールに切り替え(高速化 + メモリリーク解消) | Releases |
| 長時間セッションの CPU 利用率改善 | Releases |
SDK query() のプロンプトキャッシュ修正(入力トークンコスト最大 12x 削減) |
Releases |
主要バグ修正
| 変更点 | 参照 |
|---|---|
/clear がバックグラウンドタスクを停止する問題修正(フォアグラウンドのみに) |
Releases |
| worktree 分離の問題修正(Task tool resume、バックグラウンド通知) | Releases |
| 並列ツール呼び出しで Read/WebFetch/Glob 失敗時に兄弟タスクがキャンセルされる問題修正 | Releases |
| hooks 関連の複数修正(transcript_path 誤り、agent prompt 消失、二重表示等) | Releases |
| 権限ルールマッチング修正(heredoc、embedded newlines、deny rules 等) | Releases |
| プラグイン関連修正(Windows EEXIST、キャッシュディレクトリ、marketplace 制約等) | Releases |
VSCode
| 変更点 | 参照 |
|---|---|
vscode://anthropic.claude-code/open URI handler 追加(prompt/session パラメータ対応) |
Releases |
| effort level インジケーターを入力ボーダーに追加 | Releases |
| 統合ターミナルのスクロール速度をネイティブに合わせる修正 | Releases |
| Shift+Enter が Submit になる問題修正(古いキーバインド利用者向け) | Releases |
ドキュメント更新
| 変更点 | 参照 |
|---|---|
| ツール一覧を大幅整理(CronCreate/Delete/List、EnterPlanMode、EnterWorktree、ExitWorktree、ToolSearch 等を追加。KillShell → TaskStop、MCPSearch → ToolSearch にリネーム) | 公式ドキュメント |
| Local スコープの CLAUDE.md が「—」に変更(CLAUDE.local.md 廃止) | 公式ドキュメント |
まとめ
v2.1.72 は50項目以上の変更を含む大型アップデートです。brief モードによる新しい操作体験、/plan の引数サポート、effort UI の刷新、CLAUDE.local.md の廃止と、日常的なワークフローに影響する変更が複数含まれています。
パフォーマンス面ではバンドルサイズ 510KB 削減や bash パーサーのネイティブ化に加え、SDK query() のプロンプトキャッシュ修正で入力トークンコストが最大 12x 削減されるなど、コスト面の改善も注目です。
詳細は 公式 CHANGELOG と v2.1.72 リリースノート を参照してください。