コラム:公園とおじいちゃん

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ソリューションをご提案するベンダーとしては、「お客様が本当に欲しいもの」とのズレが無いかを常に意識したい。

自宅から徒歩2,3分の場所に、比較的大きな公園がある。
休日になると、4歳の娘を連れてよく遊びに行く。普段、SNSでエゴサーチばかりしてストレスフルな私も、この時ばかりは童心に返るのだ。

1ヶ月程前の事。いつものように、砂場で高尾山作りに励んでいると、おじいちゃんと孫(だと勝手に思っている)が自転車でやってきた。
孫は自転車を降りると一目散に滑り台へ走っていった。
おじいちゃんは公園を一通り見渡した後、孫に向かってこう叫んだ

「コラ!今からおじいちゃんがハーモニカ吹くからちゃんと聴いていなさい!」

・・・嫌な予感がした。ハーモニカなんて長渕剛以外吹い良いはずが無い。おじいちゃんは、孫に呼びかけていると見せかけて、
完全に公園中の様子を伺っている。少なく見積もって、公園では2,30人が休日のひと時を楽しんでいた。
公園の長渕は、ポケットからサッとハーモニカを取り出し、
「赤とんぼ」や「シャボン玉」などの童謡を中心にリサイタルが展開された。誰も聴いてないが。
正確には、認識はしているが意識しないようにしている状態。
こういう時代である、リワード広告などの施策を打たない限り集客は難しい。孫だって1ミリも聴いていない。
おじいちゃんリサイタルはわずか数曲で幕を閉じた。即家路につかされる孫もたまったもんじゃない。
私と娘の間にも、ハーモニカの話題が出る事は無かった。

そしてつい先日の事。
また、公園におじいちゃんが現れた。おじいちゃんは、今度こそはと譜面台と楽譜を持参した上で演奏を始めたのである。
いや、そこじゃねぇ。と思った。
おじいちゃんとしては、演奏のクオリティが民衆の賛同を得られなかったと自己分析したのである。
そこでは無い。案の定、おじいちゃんの周りに人が集まることは無かった。
世間のニーズを上手く捉えなくてはいけないと思った。

尚、SNSで私の話題が出たことは1度も無い。