社内ドキュメントをググれるようにしてみた話

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こんにちは!サーバーワークス 技術1課の中村です。
今日は社内ドキュメントをググれるようになる Chrome Extension を作ってみましたので、その話をします。

動作図

いきなり結果からお見せすると、こういったものを作ってみました。
GoogleでAWSに関するキーワードを検索すると、裏で社内ドキュメントを同時に検索し、ブラウザに社内ドキュメントのリンクとサマリをオーバーレイして表示するものです。
※サーバーワークスでは社内ドキュメントにZendesk Guideを利用しています。

上記の例では、AWS IoT に関してGoogleで検索しつつ、同時に AWS IoT の検索をZendesk Guideに対して行っています。

作り方

この仕組みは Chrome Extension を使っていて、処理の流れは以下のようなイメージです。

  1. ユーザーが www.google.com (www.google.co.jp) で AWSに関することを検索
  2. Chrome Extensionが現在の表示中のページが www.google.com (www.google.co.jp) であることを検知して、 querystringの `q=xxx` を取得し、そのクエリでZendesk Guide APIを叩く
  3. Zendesk Guide APIがクエリの結果を返す
  4. Chrome ExtensionがZendesk Guide APIからのレスポンスを元に、重み付けなどをして関連度が高い順にブラウザに表示する

上記の通り、仕組みはとてもシンプルなものです。実際のコードもAPIのやり取りとHTMLへの要素の追加程度のため、特に他に書くことがありません…。
なお、このExtensionは組織内のみに公開しているため、第三者に社内ドキュメントが参照されることはありません。

ちなみに、このExtensionの名前は、AR (Augmented Reality)にちなんで 「Augmented Googlability」としました。

なぜ作ったのか

さて、作成したもののイメージを掴んでいただいたところで、ここからは「なぜこれを作ったのか」、という話です。

皆さんはAWSに関する技術情報を調べたい時、まずどんな手段を使って調べるでしょうか?
多くの人は「まず、ググる」と答えると思います。私もそうです。

私は、まずググってみて、解決しなければ社内ドキュメントを調べてみて、それでも解決しなければ社内の有識者に聞いてみる、といったフローで物事の調査にあたることが多いです。きっと、多くの方も似たような形ではないかと考えています。

そこで、なぜ人は「まずググるのか」と自分なりに考えた結果、「Googleを検索するのと社内ドキュメントを検索するのでは、検索対象のドキュメント数が桁違いなので、結果としてまずググったほうが短い手順で答えにたどり着けることが多い」という説に落ち着きました。(そもそも、AWSの公式ドキュメント自体もかなり丁寧に書かれていてるので、それで解決してしまう事が多いというのもあります)

しかし、この状態は良い状態ではありません。なぜなら、皆が「ググって解決する」スタイルを取ってしまった場合、社員の社内ドキュメントに対する期待値は下がってしまい使われなくなります。さらに、社内ドキュメントが使われないことから、「社内ドキュメントに情報を残す」という行動に対してもモチベーションが生まれません。これにより社内ドキュメントのコンテンツは増えず、さらに期待値は下がります。まさに負のスパイラルです。


結果として、ググってわからなければ人に聞く、というパターンになりがちです。そうなってしまうと、重要な情報は有識者の脳ミソの中にある状態となり、その情報を参照するには有識者の時間を奪って質問するしかありません。こうなると知見がなかなか広まっていかないですし、他に知りたいメンバーがいても、知ることができません。

私はこの状態を少しでも解決するため、このChrome Extensionを作ってみました。このExtensionの狙いとしては、ググると同時に社内ドキュメントの類似情報を目にすることで「もっと社内ドキュメントに情報を貯めていこう!」という動きが起こることです。

(ちなみに、サーバーワークスの社内ドキュメントには、AWSの技術情報をはじめ、トラブルシューティングのコツや、各種AWSを利用する上で抑えておくべきポイントなどたくさん書かれています。)

 

実際のところ、どのくらいの社員が使っているの?

実際のところどのくらいの社員が使っているのでしょうか。

Chrome Extensionは統計情報により、Extensionをインストールしているユーザ数を取得することができます。以下がインストールしているユーザー数の推移なのですが、リリースからジワジワと減っていて、今は20名程度のようです。AWSを担当するエンジニアの約 1/3 程度が利用してくれているので、まずまずといったところでしょうか。

また、AWS歴の浅いメンバーからは、このExtensionが大いに役立ったとフィードバックをいただきました。こういったフィードバックはとてもうれしいですね。

まとめ

というわけで、まとめです。

この記事では、まず技術情報を調べる時のフローについて、多くの人は「まず、ググる」という行動を採っていることと、それにより社内ドキュメントへの期待値が下がりつつあることを書きました。
そこで、社内ドキュメント活発化のための第一手として、Chrome Extensionによりググった時に同様の内容を社内ドキュメントから検索する仕組みを作りました。
作った結果、現状としてはエンジニアのうち20名程度が使っているという状況で、実際に社内ドキュメントが活発化するかというところについては、これからという感じです。

今後については、このExtensionを起点として、もっと社内ドキュメントを書きたくなる仕組み・継続的に社内ドキュメントをメンテしたくなる仕組みの検討・実装を行いたいと考えています。

AWSも、会社という組織も、日々変化しています。
そういった環境の中で一定のパフォーマンスを出し続けるためにドキュメントの整備はしっかりと行っていきたいですね。


ググることに対して否定的な記事となってしまいましたが、私は「とりあえずググる」が悪いと思っているわけではなく、大事なことはスピード感を最大限維持しつ全体の足並みを揃えることだと思っています。すべての知見を社内ドキュメントに残し、それをメンテナンスしていくことはコストパフォーマンスが良くありません。何事においても、程度が大事ですね。