米国における銃規制の現状

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皆様、こんにちは。

カリフォルニアオフィスの臼坂です。


今回のブログでは、アメリカにおける銃の規制について書きたいと思います。


ご存知の方もいると思いますが、先週2月14日に、フロリダ州のStoneman Douglas高校で17名もの死者を出した銃乱射事件がありました。


アメリカ自体が大きな国であるということもあり、ほぼ毎日、アメリカのどこかで銃の発砲事件が発生しているような感覚がありますが、銃の発砲事件がほとんどない日本からアメリカに来ると、事件の多さに驚かされますが、実際にアメリカで生活をしていて、どんな感じなのかを皆さんにお伝えできればと思います。

日本とアメリカの違い

アメリカに住んでいて、たまに日本の刑事もののドラマを見ると、新鮮に感じることがあります。それは、日本のドラマでは警察は銃を発砲せず、殆どの場合、犯人を走って追いかけ、最後は素手で倒して逮捕するという感じです。一方、アメリカの刑事ものだと、殆どの場合、犯人を警察が追い詰める際に、拳銃の銃口を犯人に向け、銃を捨てて手を挙げるようにいい、従わない場合には発砲するというものです。


アメリカと日本の刑事もののドラマを見るたびに、アメリカと日本の銃に関する環境の違いを痛感するとともに、アメリカの警察は、本当に死と隣り合わせの職業なんだなと感じます。


銃の所持が法律により規制されている国である日本と、銃の所持が法律により合法化されているアメリカでは、大きく環境が違っていることが、刑事もののドラマを見ることでも良く理解できます。

過去の銃乱射事件

アメリカにおける過去の銃乱射事件の中でも特に悪質なものとしては、下記のような事件があります。


・2007年4月16日
バージニア州のVirginia Tech大学の構内で乱射し、32名の死者を出した乱射事件


・2012年12月14日
コネティカット州のSandy Hook小学校で乱射し、20人の子供を含む27名の死者を出した乱射事件


・2016年6月12日
 フロリダ州で、ナイトクラブに来ていた人々に向かって乱射し、50名以上の負傷者と49名の死者を出した乱射事件


・2017年10月1日
 ネバダ州で、ホテルの部屋からコンサート会場の人だかりに向かって乱射し、500人近くの負傷者と58人の死者を出した乱射事件


・2017年11月5日
 テキサス州の教会で乱射し、20名の負傷者と25名の死者を出した乱射事件


これらの発砲事件は、殆どの場合、軍隊で使用されるような自動小銃が使用されています。

銃規制の状況

こんなに銃による事件が発生している中、アメリカにおける銃規制はどうなっているのかというと、州ごとに緩い州もあれば厳しい州もあるという状況です。


驚くべきことは、銃自体が市場に普通に流通していることもさることながら、実際の軍で使用されるような、一度に大量の銃弾が発射される銃が市場に流通しているということです。


カリフォルニア州は、アメリカの中でも銃規制が進んでいる州で、自動小銃などの大量発砲ができる銃などは入手がしにくい州になっています。


一方で、そのような大量発砲ができる銃を特に規制していない州がほとんどで、前述した事件が発生することがあり得るというのも納得してしまいます。


また銃を携帯することに関しても州によって規制が異なっています。驚くことに、銃を携帯することに関して非常に多くの州が許可しているのが現状です。携帯する際、人に見える形で携帯(Open Carryと言います)しても良いという州があったり、銃を隠して携帯する(Concealed carryと言います)ことは良しとする州があったりと、日本では考えられない状況です。。。

何故、銃がなくならないの?

こんなにも多くの事件が発生する中、日本人の感覚から言うと、何故、銃規制を厳しくして、銃が市場に出回らないようにしないのかと不思議に思いますが、これには、全米ライフル協会が規制に強く反対しているという背景はありますが、最も大きな要因としては、アメリカの憲法が深くかかわっています。
アメリカ憲法の中の「Second Amendment」(修正第2条)において、「A well regulated militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed」という記載があり、個人で銃を所有することは個人の権利であり、国がその権利を侵略してはならないというものなのですが、このSecond Amendmentは、1791年12月5日に施行されたものなので、現代とはかなり異なった時代背景に制定されたものが、今も脈々と生きているという状況があります。


昨今の悪質な発砲事件によって、国民の間でも銃の規制を強める声や、日本や中国といった一般人が銃を所持することを許さない国の状況を紹介する記事など、同様の事件が将来起こらないように願う声が大きくなっていますが、憲法に関わる問題でもあるため、規制強化に関してもなかなか進まないのが現状です。

生活していてどうなの?

カリフォルニア州では、銃の規制が進んでいるといいましたが、それでもショットガン・ライフル銃などは、ハンティング用として普通にスポーツ用品店などで販売されています。


私もアメリカに来た当初は、釣り竿などとともに、一般人の普通に目につくところに銃が販売されていることに驚いていましたが、今となってはあまりにも普通においているので驚かなくなりました。しかしながら、たまに銃のセール広告が入っていたりするのには、今でも違和感を覚えます…


以前、テキサスの知人と話をしたときに、「何故銃を持っているのか?」と聞いたところ、「自己防衛のために当たり前だ」と言われ、「何故お前は持っていないんだ?」と逆に不思議がられました。


また、別のテキサスの知人からは、「テキサスでは、自分の家の敷地内では、侵入者に対して銃を発砲する権利がある」と言う話を聞き、テキサスに行ったら、絶対に知らない人の家の敷地には入らないようにしようと思ったりしました。

「アメリカは皆銃を持っているのか」というような認識を持つかもしれませんが、私自身の経験からいうと、テキサスの知人やアラバマの知人を除いて、少なくともカリフォルニア州やニューヨーク州、マサチューセッツ州といった州に住んだ中で、銃を持っている人と会ったことはほとんどないのが現状です。

各州にアメリカにおける銃を所有している人口比率を見ると、確かに人口の約半数や、半数以上が所有している州もあり、そういった州では、銃を持っていること自体が当たり前な状況だと思います。


ですので、日々の生活の中で、誰かが銃を持っているのではないかと言ったことを気にしたことはなく、至って普通に、銃の事などは気にせずに過ごしているというのが正直なところです。

最後に

アメリカでは、銃が市場に出回っていることは事実なので、それを踏まえて生活をする必要はあります。


やはり「触らぬ神に祟りなし」ではありませんが、個人的には下記の点は気をつけています。

  • 治安が悪い場所には行かない、近づかない
  • 危なそうな人には近づかない
  • ケンカは売らない、買わない
  • もめ事に巻き込まれたら、自分で何とかするのではなく警察へ連絡

現状の政権では、一般市場への銃の流通をなくすことはないと思いますし、今後、そのような方向にアメリカが動くかどうかはわかりませんが、少しづつでも規制が強まっていくことを期待しています。