夏の伊豆で流体解析を学ぶ ~オープンCAEサマースクール参加レポート~

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技術2課の白鳥です。
8月26日~28日に開催された オープンCAEサマースクール に参加してきたので、その様子を報告します。「CAE is 何?」「クラウドとCAEってどういう関係があるの?」あたりの話は、私の以前のブログ記事をご参照ください。今回のサマースクールの内容は、オープンソースの流体解析ソフト OpenFOAM の中級者向け演習でした。

会場に向かう
サマースクールの会場は、静岡県伊東市の山喜旅館でした。東京から伊東に電車で行くには、熱海からJR伊東線を利用することになります。伊東線は車窓からの海の景色がきれいなので夏の観光におすすめです。  

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伊東線からの車窓

演習の本編に入る前に、参加者が一人ずつ自己紹介を行いました。参加人数は20名ほどで、製造業や大学の技術者・研究者の方が多かったです。

Track 1: V&Vとは何か,V&V委員会,V&Vレポジトリの紹介
Track 1 では、OCAELの今野さんより、V&V(Verification and Validation)について説明がありました。数式で記述されたモデルを解いて流体の挙動を計算する場合、計算の内容や結果が妥当なものであるかを確認する必要があります。そのために

  • Verification: 数学モデルを正しくプログラムに実装できているか、およびプログラムにより正しく計算が行われているかを検証する
  • Validation: 計算結果と実験結果(または理論値など)と比較し、結果の妥当性を確認する

といった取り組みが必要であるとの内容でした。私は大学院では主に実験を行っていたので「自分の実験の妥当性を確認するために簡単なシミュレーションを行う」ということはしたことがありました。実験、理論、シミュレーションが相互に辻褄が合ってはじめて妥当性が確認できるのだと思います。

Track 2: 浮力キャビティ,sampleユーティリティ,gnuplotによるプロット
Track 2 は、オープンCAE学会の西さんによる講義と演習でした。浮力キャビティ流れ を題材に、メッシュ生成からシミュ―レーションの実行、結果のグラフへの描画までの一連の手順を学びました。私は日頃の業務では OpenFOAM は使わないので、基本的な部分をここで確認できてよかったです。乱流パラメータや離散化スキームについては、シミュレーションに不慣れな私では理解が追いつかなかったので、復習する必要がありそうです。

Track 3: バックステップ流れ
サマースクール2日目午前中は、OCAELの今野さんによるバックステップ流れの講義と演習でした。Kasagi ら(1995) による実験と同じ条件で計算し、計算結果と実験値を比べる V&V の実践的な内容でした。演習の最後には、参加者が各自で計算パラメータを調整し、実験値に近い結果を出すトライアルが行われました。優勝者にはホッピーが提供されました。私はとりあえず計算メッシュを細かくしましたが、あまり結果が改善されませんでした。乱流モデルとモデル内パラメータの設定について理解していないと、ホッピーはゲットできなかったようです。

Track 4: 自動車空力ベンチマーク(ERCOFTAC Ahmed body)
最後の演習は、オープンCAE学会の住友さんによる自動車空力ベンチマークでした。FreeCADで作成された図面をエクスポートし、OpenFOAMで読み込んでシミュレーションを行う実践的な内容でした。FreeCADで設計し、OpenFOAMで解析し、ParaViewで結果を可視化するという流れを体験することができました。また、計算量が多くなるケースであるため、短時間で結果を得るには並列計算を行う必要があります。AWSを使ったOpenFOAMの並列計算はやってみたかった領域なので、計算の実例を学べたことは有意義でした。

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自動車空力ベンチマークの計算結果

総合討論
最終日には、各参加者から話題提供をし、内容について討論を行う時間がありました。各企業で取り組もうとしているシミュレーションの事例や、Raspberry Piによる並列計算クラスタ、Perfumeまわりの乱流解析の事例など、多様なOpenFOAMの活用法を学ぶ機会となりました。私からはこちらの資料に沿って、OpenFOAMをAWS上で使うメリットと始めかたについて紹介しました。

感想
サマースクール参加以前は、OpenFOAMをAWS上で使う検証をしたいと思いつつも、ドキュメントを読みながらチュートリアルをやるだけでもハードルが高く、進捗がよろしくありませんでした。このたび、サマースクールの3日間で集中して使い方を学べたため、今後の検証も捗りそうです。また日頃業務でCAEを活用している方々と交流して、実際の利用状況や課題についてお話を伺い、今後のヒントを得ることもできました。AWSの機能の中にOpenFOAMと相性が良さそうなものもあるので、どんな感じで使えるか試してみたいです。

さいごに
というわけで「Amazon EFSで共有ディレクトリつくってOpenFOAMクラスタ組んだら面白そうだな」と思ったので、帰りの電車ではグリーン席を確保し、OpenFOAMの入ったEC2にEFSをマウントしてみました。グリーン車だとテーブルがあるのでだいぶ作業がしやすいです。新幹線ほどではないですが、移動しながらの作業環境としてはなかなか良かったです。みなさまもぜひ AWS on Rails をお楽しみください。

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グリーン車からの車窓とAWSマネジメントコンソール
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